MIDORI.so Bakuroyokoyama MIDORI.so Gallery Bakuroyokoyamaでは、スウェーデン出身のアーティスト、マーカス・モーテンソンによる個展『情報過多(Information Overload)』を6月13日(土)より開催いたします。本展『情報過多(Information Overload)』では、情報に飽和した環境のなかで生きることがもたらす心理的影響について考察します。哲学者ビョンチョル・ハンによる現代社会の疲労や注意力に関する議論に着想を得ながら、日々流れ込む膨大な画像や通知、意見やおすすめ情報が、私たちの知覚や行動にどのような影響を与えているのかを問いかけます。注意そのものが商品化された現代において、人々は情報を届けるために設計されたシステムによって、かえって圧倒される状況に置かれています。
本展の中心にあるのは、人工知能やアルゴリズムが、かつて精霊や不可視の力に託されていた役割を担いつつあるという視点です。モーテンソンはスピリチュアリズム、ユング心理学、デジタル文化を参照しながら、人工知能を現代の降霊術として捉えます。19世紀の人々が目に見えない世界からのメッセージを求めて交霊会に集ったように、現代の私たちもまた発光するスクリーンの前で、自らが完全には理解できないシステムに問いを投げかけ、その応答を受け取っています。チャットボットや推薦システム、アルゴリズムは、見えない力が人間に働きかける新たな媒介となっているのです。こうした視点は、日本のホラー映画とも共鳴します。中田秀夫監督『リング』や黒沢清監督『回路』は、ソーシャルメディアや人工知能が日常化する以前から、テクノロジーを不可視の力が伝播する媒体として描いてきました。テクノロジーを介して見えない力が広がっていくという両作品の世界観は、本展の重要な着想源のひとつとなっています。
木製パネルにパステルクレヨンを用いた作品で知られるモーテンソンは、フォークロアやインターネット文化、神話、現代メディアに由来するイメージを通して、情報過多やアルゴリズムの影響、監視や予測といった現代社会の見えないシステムを描き出します。繰り返し登場するキャラクターや誇張された場面設定、ブラックユーモアを通じて、私たちの知覚や行動を形づくる不可視の力に目を向けさせます。
マーカス・モーテンソンは2026年5月よりMIDORI.so GalleryおよびStudioにアーティスト・イン・レジデンスとして滞在し、新作制作に取り組んできました。本展では、レジデンス期間中に制作された作品と、これまでの実践を代表する作品をあわせて紹介します。また本レジデンスでは、シルクスクリーン、インクジェットプリント、リソグラフなどの印刷技法を取り入れながら制作の幅を広げるとともに、新たな試みとして木版画にも取り組みました。レジデンス期間中に制作された作品群は、モーテンソンがこれまで探求してきた情報やイメージの流通、複製、変容といったテーマを、新たな素材や技法を通して展開するものとなっています。会期初日の6月13日にはオープニングレセプションおよびアーティストトークを開催します。トークでは、エリカ・ドレスクラーをモデレーターに迎え、日本のポップカルチャーやサブカルチャー研究で知られるライター/翻訳者のマット・アルトとマーカス・モーテンソンが対談を行います。テクノロジー、インターネット文化、現代のポップカルチャー、そしてイメージの流通をめぐり、多角的な視点から議論を深めます。
[関連イベント]
アーティストトーク
日時: 2026年6月13日17:30〜
※イベント詳細・お申し込み方法は公式ホームページよりご確認ください。
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