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足立真輝 「取り外された壁龕」

プリズミックギャラリー
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アーティスト

足立真輝
本展は、作家・足立真輝による近作の聖母礼拝堂を起点に、そのプロジェクトと連動する複数の作品および計画案によって構成されます。自身のアトリエに併設されたこの礼拝堂の設計は、足立にとって、それまで潜在していた精神的・文化的背景に初めて直接的な輪郭を与える試みでした。同時に、それは従来の作品に通底していた主題や関心を、より明瞭なかたちで浮かび上がらせる契機にもなっています。

足立の制作において、継続的な参照点となってきたのが、マルセル・デュシャンの《泉》です。20世紀美術における制度批評の象徴として語られるこの作品を、彼は別の文脈――たとえば聖水盤や壁龕、そしてマリア像の輪郭といった宗教的造形との共鳴――のなかで捉え直そうとしています。そこに見出されるのは、制度や表象の構造そのものに対する、より根源的な問いかけです。

彼が注目するのは、「傍らにあるもの」が、いつの間にか制度的な支えとなり、表象の動機として機能しはじめるような、いわばパレルゴン的な構造です。そうした構造は、精神の拠り所として自己の輪郭をかたちづくると同時に、その認識を拘束もします。足立は、この両義的な力学のあわいにおいて、その「抽象」と「表現」とが漸近していくような表現の在り方を探り続けています。

展示空間は、設計図や模型、複数のオブジェクトによって注釈的かつ断片的に構成され、破片的な佇まいをもつ作品群と呼応しながら、鑑賞者に作家の思考を追体験させる場として立ち上がります。

建築から壁龕(へきがん)を切り離すという物理的な矛盾を孕んだ試みは、足立の問題意識の核にある「表象的枠組みからの聖母の解放」への重要な手がかりであり、同時に、私たちが必要とする「拠り所」のあり方そのものを問い直す契機ともなります。

[関連イベント]
トークイベント 足立真輝 x 下田直彦 「考える手/祈る手」
日時: 9月27日 14:30〜16:00
参加費: 無料
申込: 不要
登壇者: 足立真輝、下田直彦

スケジュール

2025年9月8日(月)〜2025年10月17日(金)

開館情報

時間
10:0018:00
月曜日は12:00開廊
休館日
土曜日、日曜日、祝日
入場料無料
会場プリズミックギャラリー
http://www.prismic.co.jp/gallery/
住所〒107-0062 東京都港区南青山4-1-9 秋元南青山ビル 1F
アクセス東京メトロ銀座線外苑前駅1a・1b出口より徒歩10分、東京メトロ千代田線乃木坂駅5番出口より徒歩20分
電話番号03-5770-4751
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