小灯固体か液体か。ガラスは触れると硬いため固体のように思えるが、厳密には固体とは言えないらしい。硬いのに脆い、というガラスの特徴は、ガラスが固体と液体の中間的な状態でもあることを示している。
科学的なことはいずれさらに解明されるとして、固体か液体かという問いかけは、小澄正雄さんのガラスを奥深く楽しませてくれる。固体と液体、両方の性質が、小澄さんのガラスの佇まいの中で見え隠れするからだ。
雫のような形のボディからすっと細くのびる鶴首瓶。繊細にたたずむ口縁の〝際〟は息を呑むほど美しい。
この〝際〟の先に花を生ければ、ガラスは液体、水のかたまりとなり、植物とともに景色を語り始める。花はガラスを固体から液体へと感覚的に変化させる装置なのかもしれない。そして花もまた、固体で在り続けることはできない存在。生けるその時、まなでるひと時、その〝際〟を咲かせて移ろっていく。
固体と液体の中間状態というガラスの特質は、目に見えにくいものだけれど、ガラスが秘めている不安定さ、脆さ、不完全さは、〝繕い〟によって可視化され、固着化される。 繕いの描く線もまた〝際〟の美しさである。
今展では小澄さんの作品は、食の器や花の器などが並びます。透明、青藍色をはじめ、今展では小澄さんの目指している黄色(茶と黄の間の色)など、ガラスの色合いによるさまざまな表情もご覧いただけます。花生けは、野の草花を扱う鎌倉緑青の井上揚平さんです。また、制作過程でヒビが入ったり、欠けてしまったガラスを、佐久間年春さんに繕っていただきました。花や繕いによって見えひろがるガラスの世界を、ぜひお楽しみください。
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