HOKUBU記念絵画館池田満寿夫は美術の主流を先回りして、興味の赴くまま様々な技法に挑戦した結果、ただちに時代の王座についた版画家です。初期の鮮やかな銅版画の発表から、国際展での受賞、そしてニューヨーク近代美術館での個展など、日本人としては前人未到の快挙で世界を驚かせました。こうした活躍の一方で、ある意味で私生活をむき出しにした性格で人気を集め、昭和の日本の猛烈なメディア消費の中に活動の場を求めて躍動しました。それは芸術と言う舞台に止まることなく、思いがけない好評を得て人生の道筋を変えていきます。
働き盛りで仕事の早い彼は、小説を書いては芥川賞を受賞し、テレビの司会から映画監督までもこなしました。そして、旺盛な意欲でマルチな制作に取り組み、軽やかなステップワークで時代を駆け抜けました。それでも彼の才能を最もよく発揮しているのは版画ということになります。
池田は自らの表現をコロコロと変化させましたが、それは、建築や音楽をも統合するグランドアートが存在しない現代にあっては、時代に合った成功の姿だったのかもしれません。それは未知の世界を次々と目の前に開かせました。その意欲はいずれの作品にも脈打っています。本展は版画を核に、書や陶芸などを加えて池田満寿夫の全貌を紹介するものです。
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