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[画像: 「大坪美穂展―海界―」(香美市立美術館)展示風景 2008年 ©Kei Uesugi]

大坪美穂 「黒いミルク―北極光・この世界の不屈の詩―」

武蔵野市立吉祥寺美術館
終了しました

アーティスト

大坪美穂
大坪美穂(おおつぼ・みほ)は、人間存在を主題とするアーティストです。現代の問題を鋭敏に感受しながら、重厚な作品空間を創出しています。

最初期には絵画や身体表現に取り組んでいた大坪ですが、家族の死と誕生、自らの病、人間の尊厳を揺るがすできごとの見聞といった経験をとおして、表現の手法を変化させていきました。近年では、自ら収集し染めた古布、ニュースペーパーと和紙による紙縒り、薄い鉛板などを素材にもちいて制作しています。大坪の作品とは、あまねく必然としての創造であり、大坪自身の生の実証であるといえるでしょう。

大坪の作品をかたるうえで特筆すべきは、その素地にある「ことば」です。大坪の表現の源流には、彼女が豊富な読書経験や詩作などからとらえた、さまざまなことばが存在しています。わけても、ドイツ系ユダヤ人の詩人パウル・ツェラン(1920-1970)、アイルランド語によって詩作する女性詩人ヌーラ・ニー・ゴーノル(1952- )の詩は、大坪の血肉になっているといっても過言ではありません。大坪がふたりの詩から受けとった深い感動は大規模なインスタレーションとして発露し、20年超にわたって国内外の各地で展開され、多くの人びとの心を引きこみながら、広がりと深化をつづけています。

終戦直後の荒廃した街並みが原風景であると語る大坪は、いかなる局面にあっても、作品にあらわすことによって、確かな生をつかもうとしてきました。本展のタイトルとして大坪が選んだことば―「黒いミルク」はツェランの詩「死のフーガ」に依拠し、「北極光」「この世界の不屈の詩」はニー・ゴーノルの詩「北極光」(*)から引いています。言うなれば闇と光とが並立するタイトルですが、ここには、割り切れぬ人間のありようと、それを直視しつつ希望を見失わない大坪の力づよさとが、示されているように思います。

吉祥寺は、大坪が学生時代を過ごした思い出深い地であり、創造の起点でもあります。このたび満を持して当館において構成されるインスタレーションは、大坪の仕事の集大成であると同時に、皆さまとともに踏み出す、生へのあらたな一歩となるに違いありません。

*Nuala Ní Dhomhnaill translated by Peter Fallon from Northern Lights (2018) is reproduced by kind permission of The Gallery Press.
www.gallerypress.com / 日本語訳は大野光子氏による

スケジュール

2024年4月13日(土)〜2024年5月26日(日)

開館情報

時間
10:0019:30
休館日
4月24日は休館
入場料 一般 300円、高校生・中学生 100円、小学生以下・65歳以上・障害者手帳提示 無料
展覧会URLhttps://www.musashino.or.jp/museum/1002006/1003349/1006116.html
会場武蔵野市立吉祥寺美術館
https://www.musashino.or.jp/museum/
住所〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-8-16 FFビル7階
アクセスJR中央線・総武線・京王井の頭線吉祥寺駅北口より徒歩3分
電話番号0422-22-0385
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