菅実花は、これまで人形・写真・映像を用いて「人間と非人間の境界」を探求してきました。2020年のVOCA展や、2021年の個展「仮想の嘘か|かそうのうそか」では、自身の頭部を型取りした人形とのセルフ・ポートレートを通じて、クローン的な分身の存在を描き出しました。
本展では、二つの新作であるジェネラティブドキュメンタリー映像《Interview by the Gaslighter》と人形写真《Sympoietic Doubles》を展示します。映像作品では、支配的な人格の言語パターンをトレースしたAIが、菅に10年間の作家活動について100問のインタビューを行います。AIはプロンプトによって指定されたテクニックを用いて本来の制作意図とは違う内容を決めつけ、菅はそれに影響を受けながら回答を続けます。収録された対話は分割され、再生のたびに異なる組み合わせで映像が生成されます。観客の人数に応じて映像の構成が変化し、語りが切り崩されていきます。
写真作品《Sympoietic Doubles》は、2019年より続けている「あなたを離さない」シリーズの最新作です。菅は29歳の時に自身の顔の型取りから本人そっくりの人形を制作してもらい、一緒にセルフポートレートを撮っています。今回は異なる糸を編み込み作る一枚の織物でも解けばまた別々の糸に戻ることから、糸と編み物をモチーフに、二人が指編みをしたり、クロシェを纏ったりしながら境界線を曖昧にしたり分離したりすることを表現します。
個展タイトル「うそかまことかとこまかそう」は回文です。前から読んでも後ろから読んでも同じ言葉となるこの構造は、嘘と真実の関係性を表しています。また「何が嘘で何が誠だなんて細かいことにこだわるな」という非難の意図を持って発せられるであろう文言でもあります。
本研究はJSPS科研費 JP24K15957の助成を受けたものです。会期中には日本学術振興会科学研究費助成事業若手研究「アイトラッキング調査による人形写真の鑑賞の分析に基づく類似的表象の見分けの研究」の実証実験も実施します。アイトラッキンググラスを用いた鑑賞のご予約は、ウェブサイトにあるカレンダーより行なっていただけます。
[関連イベント]
ラブドール真剣トーク「よりタフのあの二人よ」
日時: 7月6日(日)19:00〜
会場: 大道芸術館
出演: 菅実花×関根麻里恵
参加費: 3500円(1ドリンク付き)
要予約 daidougeijutsukan@gmail.com
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