井口美尚 + 佐藤清「Soup Salt and Pepper」

Art Center Ongoing

終了しました

アーティスト

井口美尚、佐藤清

この度、Art Center Ongoingでは井口美尚と佐藤清の二人展「soup salt and pepper」を開催します。

井口は、体の中の空間と肌で触れる外部を倒錯させるような作品を制作しています。井口が留学でアメリカに行った際、異国での不調によって嘔吐をし、その嘔吐している瞬間に自分の身体の内部が筒のようなものであり、肌で触れている世界が外部であると強く認識したと言います。その体験から、社会に備わっている“規範の輪郭線”というものを意識し始めました。今回の展示では「いんぼう論とダイエット」をキーワードに、家族を題材にした映像作品と立体作品が並びます。

佐藤は、自分の「佐藤清」という名前が日本で2番目に多い名前の文字列であることで幼少期から自身の名前に匿名性を感じていました。そこから、もっとも普遍的な人間の形を追求しています。宇宙人が地球から人間のサンプルを取り出そうとしたとき、そのサンプルになるようなニュートラルな自己であることを目指していると言います。佐藤は昨年無職の状態を経験したことから今回の展示では「睡眠と時間」をテーマにしています。働かない生活というのは、精神的にいいことだけではなく、季節がなくなるようであったと語っていました。眠ることで、時間がなくなっていくような感覚に死を感じ、繰り返しの日々、ベッドの上でのバッド、眠りを表現したインスタレーションです。

2人は同世代の作家であり、本展示では「陰謀論」や「無職＝ニート」といった近代の社会問題を取り扱った作品を制作しています。ポストコロナの資本主義社会で生きるわたしたちは、気がつかないうちに生存競争に巻き込まれているのです。強い人間であること、リッチになって成功すること、痩せて鍛えて美しくなるためのヘルシーな食生活etc……そのなかで陰謀論にハマったりニート生活に至ったりする、軽視されてしまいがちな人間の弱さに焦点を当てています。自らの弱さを見つめることができる人は、さて、どのくらいいるのでしょうか。ぜひ、2人の作品を見つめてください。

スケジュール

2025年5月14日(水)〜2025年5月25日(日)