隙間は、中瀬萌による「ある日の種 (A Seed For A Day)」を開催します。 神奈川県藤野町の麓で生まれ育った中瀬の作品は、自然との関係から生み出されるさまざまな影響を受けてきました。溶融した蜜蝋に色素を混ぜ合わせる絵画技法・エンカウスティークを独学で試み始めた中瀬は、この手法を自らの方法に発展させながら国内外で作品を発表しています。 確かな技術から制作される絵画は一方で、変化する自然の中に身を置き、その繊細さを肌で感じることから引き出される情感と直感、そして刹那的な感触が映し出されているようです。 本展「ある日の種 (A Seed For A Day)」は、鑑賞者を巻き込んだ作品との相互作用を促し、新たな対話を試みています。 中瀬は、私たち自身の中にある想像と創造を誘発する触媒として、絵画、そして音を配置します。鍵盤奏者であり、ドラムレスバンド’賽(SAI)’のリーダー、様々なアーティストへのサポート、劇伴音楽制作など多様な活動をおこなっているTAIHEI(櫻打泰平/1992年富山県氷見市生まれ)がこの展覧会のために制作した音は、中瀬が自然や旅の情景をもとに制作した絵画とのコミュニケーションによってつくられました。作品同士のラリーによって生まれた楽曲は、展示される空間にも響くでしょう。絵画、音、そして鑑賞者を介した共鳴は、私たちがまだ知らないコミュニケーションの在り方を、無言で差し出しているのかもしれません。
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