[画像: 小谷元彦 《Inferno》2010年、展示風景:「小谷元彦展: 幽体の知覚」森美術館(東京)2010年、撮影: 木奥惠三、画像提供: 森美術館 ©️Motohiko Odani]
[画像: 小谷元彦 《Surf Angel(provisional monument2)》2022年、展示風景:「Reborn Art Festival 2021-2022」2022年、撮影: 小俣英彦 ©️Motohiko Odani]
[画像: 小谷元彦 《こんぼうや》瀬戸内国際芸術祭2022、撮影: 小俣英彦]
[画像: 小谷元彦 《i n v a s i o n》2020-2022年 ©️Motohiko Odani]
[画像: 小谷元彦 《i n v a s i o n》2020-2022年 ©️Motohiko Odani]

小谷元彦 「i n v a s i o n」

ANOMALY
2月18日終了

アーティスト

小谷元彦
ANOMALYでは、1月21日(土)より2月18日(土)まで、小谷元彦個展「i n v a s i o n」を開催いたします。

小谷元彦(おだにもとひこb.1972)は、1997年P-Houseでの個展「ファントム・リム」でデビュー、リヨン、イスタンブール、光州のビエンナーレへの参加を経て、2003年ヴェネチア・ビエンナーレで日本館代表となり、またサンドレット財団(トリノ)、アートソンジェセンター(ソウル)、森美術館(東京)、キアズマ現代美術館(ヘルシンキ)などのグループ展でも発表を続け、国内外を問わず大きな評価を得てきました。その作品は彫刻に留まらず、写真、ヴィデオ、インスタレーションなど多岐に及び、メディアを限定しない多彩な表現方法により制作することのできる、類い稀な作家です。2009年銀座メゾンエルメスフォーラムでの個展、2010年には森美術館での個展「幽体の知覚」(静岡県立美術館、高松市美術館、熊本市現代美術館に巡回)で、身体感覚を揺さぶる大型インスタレーションや彫刻、ヴィデオ作品を発表し、「身体」という概念に「幻影」を抱かせる強い感覚を来場者に与えました。

その後、2013年スウェーデンのフォトグラフィスカでの個展、また2013年金沢21世紀美術館、2014年東京都現代美術館、2016年国立国際美術館、2017年テグ美術館(Daegu Art Museum)のグループ展等に参加。また近年、瀬戸内国際芸術祭2022では女木島(通称鬼ヶ島)に「こんぼうや」を「開店」、同年ポンピドゥ・センター・メッスのグループ展に参加するなど、精力的に活動を続けています。

3年半前のANOMALYでの個展「Tulpa – Here is me」では、「私はここにいるけど、私であって、私ではない」という自己の死のポートレイトとしての彫刻を発表。1997年のデビュー個展から現在に至るまで、身体とその感覚の幻影(ファントム)が、小谷元彦の作品の根幹を貫く一つのテーマとなっています。Tulpaのシリーズの作品のモチーフになっている五芒星は、古代エジプトではヒトデに星を重ね、星に子宮を重ねて死生観を表したもので、小谷はこの五芒星に変容の記号を感じ、前回の個展のタイトルとしました。また2022年リボーンアートフェスティバルではマカバ(*1)の形のライトを頭部に冠したおよそ6mの巨大作品を発表し高評を博しました。

今回の個展は、3年越しで制作された新作長編映像作品の発表、および昨年発表した立体と短編映像作品で構成される展覧会です。

本展タイトルでもある新作長編映像《i n v a s i o n》は、催眠術に使われる渦巻きがアイコンになっていますが、「回転」を表すフォルムは、かねてより繰り返し小谷の作品に使われている形です。古い催眠術の本から採用した回転の図像は、漫画『デビルマン』に登場するサイコジェニー(*2)を思わせ、漫画作中では「催眠」と「覚醒」、両方の合図として使われています。また回転形は脊椎動物の内耳にある渦巻管にもみられ、動物をモチーフとして多用してきた小谷にとって重要なフォルムといえるでしょう。今回の渦巻きが意味するものは、催眠、覚醒、または変化、もしくは「振り出しに戻る」か。本作では時間を跨ぎながら、渦巻きが多様な意味の暗喩として使われていますが、全編を通じて魔術的なものを象徴する紋様として機能しています。

18世紀、フランス革命やドイツロマン主義運動に影響を与え熱狂的ブームになりながら精神医学から黙殺されたドクター・メスメルは、人体への惑星の影響について、生命の健康は自由な「流体」の流れ・循環が大事とし、催眠療法でも知られています。彼が治療に取り入れた「催眠」は一方で魔術的な行為であり、一種のトランス状態を誘発し、宗教体験とも親密です。本作で小谷のいう「魔術」は、医学と自然科学の別の捉え方と考えられます。

本作中には他に、エジソンやフロイトの肖像画や、パブロフのモニュメント、軍用電話機、無線機などが登場します。白熱電球や電話機、蓄音機の開発(*3)は科学的な躍進ですが、光を発するガラス球や、遠くの声が耳元で聞こえる受話器や無線機の普及は、当時とても魔術的に受け取られたのではないかと想像できます。科学はかつて、魔術という概念と案外近しいものだったのかもしれません。また本映像作品では同時に「信じる」ことが極めて個人的なこととして提示され、監視カメラで監視された合理的な世界の裏側で起こっている、本人による本人の再魔術化として描かれています。

[本文註]
(*1)マカバ: 星形正八面体。二つの正四面体が重なり合った形で、神聖幾何学と呼ばれる。
(*2)サイコジェニー: 永井豪『デビルマン』に登場する、強烈な精神干渉能力を持つ瞳が回転するデーモン。サタン自身の記憶を封印し人間としての記憶を与え、物語の後半で封印したサタンを覚醒させた。
(*3)白熱電球、電話、蓄音機: 白熱電球を発明した人物はエジソンではなくイギリスのジョゼフ・スワンとされる。エジソンはより安定性の高い実用的な電球を開発した。また電話の発明者はイタリアのアントニオ・メウッチとされ、ベルはエジソンに先駆けアメリカでいち早く特許を取得。エジソンには改良発明品が多いと言われ、世界同時多発的にさまざまな科学者が研究、開発していた。

[長編映像上映時間]
11:30〜、13:05〜、14:40〜、16:15〜(95分)
※日本語のみ
※15歳以下の方は保護者の同意のもとご鑑賞ください。

スケジュール

開催中

2023年1月21日(土)~2023年2月18日(土)あと18日

開館情報

時間
11:3018:00
休館日
月曜日、日曜日、祝日
入場料無料
展覧会URLhttp://anomalytokyo.com/exhibition/i-n-v-a-s-i-o-n/
会場ANOMALY
http://anomalytokyo.com/top/
住所〒140-0002 東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 4F
アクセスりんかい線天王洲アイル駅B出口より徒歩9分、東京モノレール天王洲アイル駅南口より徒歩10分、京急本線新馬場駅北口より徒歩9分、JR品川駅港南口より都営バス「天王洲橋」下車徒歩4分
電話番号03-6433-2988