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川畑那奈 「地の内臓」
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川畑那奈 「地の内臓」
飯島商店
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アーティスト
川畑那奈
私たちは「地球という大きな身体」の上に存在しています。プレートは年間数センチメートルというわずかな速度で移動し続けていますが、その運動を日常の中で意識し続けることは容易ではありません。しかし、地震が頻発する日本においては、大地が動くという感覚が定期的に私たちの身体に襲いかかってきます。静かに見える地面が、突如として激しく揺れる。その瞬間、私たちは大地という地球の「皮膚」に触れていること、そしてその奥でうごめく「何か」の存在を、否応なく実感させられます。
このような身体感覚——すなわち、自分の身体の外側に、さらに大きな「身体」が存在しているという知覚——は、日本文化における主客一体の世界観と深く結びついています。プレートの裂け目に位置し、地震という現象と長く共生してきたこの列島だからこそ、人間と自然は対立する存在ではなく、互いの輪郭を溶かし合いながら共にあるという感受性が育まれてきたのかもしれません。
ここで、芸術人類学者・石倉敏明氏が提唱する「外臓」という概念に触れたいと思います。人間の身体はしばしば一本のチューブとして例えられますが、石倉氏はこの構造を拡張し、私たちの内臓が風景と地続きになっているという世界観を提示しています。この視点を借りれば、プレートの裂け目もまた、人間の身体における口や肛門のようなものと捉えることができます。すなわち、日本という地理的条件にある私たちは、地球という巨大な身体の「呼吸」や「蠕動(ぜんどう)」に、直接的に晒されているのです。
本企画では、「内臓、そして外臓としての人間」を描き出すことを試みます。展示は民家の一室を舞台とし、三点のアニメーションによるインスタレーションとして構成されます。アニメーションに描かれるイメージには明確なスケール感がなく、ときに広大な風景のようにも、小さな生物の内部構造のようにも見えます。ミクロ即マクロというスケール感の変動は、私たち自身が巨大な身体にとっての「内臓」であり、同時に微小な身体にとっての「外臓」でもある——という両義的な在り方を描き出していきます。
本作の展示場所として民家という場を選んだのは、空間全体を身体そのものとして立ち上げるためです。民家の壁や床、天井は、人間の身体を包む皮膚や骨格のように働き、鑑賞者を包み込みます。映像、物質、空間が一体となり、全存在における「臓器としての人間」の姿を強調します。
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スケジュール
2025年9月1日(月)〜2025年9月7日(日)
開館情報
時間
14:00 〜 20:00
最終日は14:00〜19:00
入場料
無料
展覧会URL
https://www.iijimashouten.com/events/2025/9/1/organsoftheland
会場
飯島商店
https://www.iijimashouten.com/
住所
〒238-0007 神奈川県横須賀市若松町1-12
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アクセス
京急本線横須賀中央駅東口より徒歩3分
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