ターナーギャラリー本展覧会は、2015年から2021年まで、新潟は津南を中心に撮影が重ねられた複数のシリーズからの3つ、「破れる風景」「雪の刻」そして動画作品「降る」を3フロアに展開し、「雪のさき」の総題のもと、個性と通底の双方を際立だたせている。
カメラを手にして以来ずっと雪をモチーフにした作品制作を望んできた中井がそれを実行に移したのが2013年、日本の豪雪地と呼ばれる各地を二冬かけて巡って辿り着いたのが、豪雪としては南限近くに位置する津南だった。北方のパウダースノーとは性質を全く異にする湿雪は、荒海の大波のようにうねりながら層を重ねて、街も周辺の田や森も伸し掛かるように呑み尽くし、その特異な景観に惹かれた中井はこの地での撮影を決める。当初は、雪景色や人々の生活に目を奪われた彼女だったが、一人で雪の中を歩くうちに、そうした面は退いていった。そうして、雪のさきに見えてきたもの......
「雪のさき」は、視野の彼方と目前の雪の事象の奥、二つの意味合いを帯びている。人の定めた地境を越え、時代区分も超え、自然界の季節さえも超えて広がり領野をなす雪。また、「今」という場に、高まり静まり、それ自身の時を刻む雪。
中井が雪のさきに見た、存在と無と時間の様々な姿形を表現した展覧会である。
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