Sho+1では、2026年6月12日(金)から7月4日(土)まで、写真美術作家として国内外で活躍する木村尚樹の2回目となる個展「凪零 Lullscapes - Before It Begins ∶ Zero - Horizon Photographic Art」を開催いたします。
6月11日(木)18時にオープニングレセプション、また6月20日(土)13時からはアーティスト・トークを開催いたします。
「像が視えるよりも前に、すでに何かは始まっている」
もし、像が始まらないとしたら、何が立ち上がるのか。
本展「凪零 — Nagi-Rei」において、木村尚樹は、写真という前提そのものを静かに解体していきます。
像を否定するのではなく、その直前へと遡ることで、対象や構図、意味として定着する以前の、「視る」という状態そのものの条件を提示しようと試みます。
「凪零」における静けさとは、単なる沈黙ではありません。
それは、明確な宣言を持たないまま持続する緊張であり、何も主張しないまま、なお終わることのない状態を示しています。
⾧年にわたるモノクローム作品の制作を通して、木村は像が定着する以前の知覚や空間のあり方を探り続けてきました。
「Zero-Horizon -零式-」は、その⾧い実践の中から徐々に輪郭化されてきた、視覚のあり方への構造的な視点です。
本展は、以下の4つのセクションによって構成されます。
Fragments / Resonances / Interference / Remains
・Fragments ― まだ像として結ばれきる以前の、微かな断片的徴候
・Resonances ― 関係が保たれ、静かに持続するもの
・Interference ― 構造が揺らぎ、整合が崩れていくもの
・Remains ― 何かが退いた後にもなお残り続け、やがて静かに零への帰還(“Return to Zero” )を帯びてゆくもの
本展の核にあるのは、木村が「Zero-Horizon(零式)」として捉えている視点です。
それは理論として解釈されるものではなく、像がまだ自己主張を持たない地点――いわば発生以前の地平とも言える場所です。
対象を描写するのではなく、光や面、空間の断片が立ち現れながらも、ひとつの像として定まることなく留まり続ける作品群。
それらは、立ち上がり・干渉・断絶といった関係性の変化によって構成され、鑑賞者を、確定することのない知覚の場へと導いていきます。
イタリアを中心とした制作活動を背景に、木村のモノクローム作品は、写真表現を極限まで削ぎ落としていきます。光は照らすのではなくためらい、形は確定するのではなく漂い、像は完成を拒みます。
作品は、捉えず、語らず、完結しません。ただ、そこに残り続けるのです。
「何を見るか」ではなく「見ることが、どのように始まり、どこで定まりきらないまま残るのか」。本展は、その静かなゆらぎの場へと鑑賞者を誘います。
[関連イベント]
アーティスト・トーク
日時: 6月20日(土)13:00〜14:00
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