オリエ アート・ギャラリーオリエアート・ギャラリーでは、前川奈緒美の絵画展を開催します。抽象画家として確かな実績を重ねる前川奈緒美は、画家として歩み始めた当初はテンペラや油彩による人物画を制作していました。目の前の人物と向き合うことで生まれる緊張感や距離感に心惹かれ、描く行為を通して立ち現れる人間の奥底に潜む感情や精神性を、無数の描線による具象と抽象がせめぎあう表現で展開していました。やがてその関心は、人物そのものから、前川自身と対象とのあいだに横たわる膨大な時間や空間性へと移行していきます。それらの表現方法を模索する中で、画面には次第に生命の発露を思わせる、色彩を帯びた躍動的なストロークが飛び交うようになり、前川が触れてきた世界の感覚やその本質に迫る抽象表現へと深化を遂げていきました。
近年の作品では線の軌跡に加え、隆起した絵具による物質感、静謐な余白を思わせるキャンバスの地肌、柔らかく染み込んだオイルの痕跡など、絵画を構成するあらゆる原初的な要素が用いられ、それらが幾重に重なり合うことで奥行きを感じさせる空間がうまれ、鑑賞者は作品内部へ静かに誘われます。本展では油彩と自作のオイルバーで描かれた絵画作品8点を発表します。描線の堆積と研ぎ澄まされた色彩によって近年の主題である「自己と他者の時間軸の重なりから生まれる力」を描き出した作品群をご紹介いたします。人間と絵画の根源に真摯に向き合い続ける前川の作品をぜひ会場でご高覧ください。
まだコメントはありません