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[画像: Narumi Sasaki《untitled(無題)》1620mm x 1303mm, Oil on Canvas]

佐々木成美 「As the Body」

LOKO GALLERY
終了しました

アーティスト

佐々木成美
LOKO GALLERY では、画家・佐々木成美による個展「As the Body」を開催致します。 当ギャラリーにおいて、2021 年以来 3回目の個展となる本展は、身体とイメージの運動性に焦点を当て展開されます。

佐々木がこれまで参照してきた神話や伝承、幻想小説、象徴主義や神秘主義が内包する力は、彼女が自身の絵画において採用する抽象と分かち難く結びついています。それは、指し示すことと、現れることの「二重の示し」でもあります。人間の苦悩や矛盾、精神性や夢想など目に見えないものを描き出そうとした象徴主義について「(発展を志向する)モダンに至る一歩手前」の時間軸としてその時代を読み取る佐々木は、そこに合理的ではないものや、仕組みに回収されない「見えない存在」を感知する人間性があると言います。それは神性な存在に惹かれながらも生きて、やがて死にゆくという普遍性から解放されないジレンマを抱えた人間の生でもあります。

佐々木はある種の崇高性が担保され、直線的なモダニズム思考の世界で削ぎ落としと純化が進んだ歴史を背負う抽象と、女性の肉体を持って今を生きる自身との距離を注意深く感じながら制作を重ねています。生の内に、原初的な身体性の共感覚や記憶、意識や無意識、肉体や生殖器官などの連係を見る彼女の作品には、螺旋や円環、立体物として現れる植物や鉱物、身体といった、生活世界にも見出せるモチーフが用いられています。それらが彼女の絵画平面と画前面に滲出・拡張される時、物理的に<見える>イメージと、そこに潜む<見えない>触覚性は、観る者にどのような体験世界を立ち現すでしょうか。自身の実践について「具体と抽象の間の矛盾を引き受けながら」と語る佐々木は心理学や図像研究にも依拠しながら、絵画で示される抽象イメージに具象的な彫刻イメージを配置することで「抽象的な形象が名前を持った違うものに観えてくる」可能性も期待しています。その空間では具象的な彫刻もまた、抽象的なイメージへと反転変化されてゆきます。

美術史家のゴットフリート・ベームは、「見せること」には必然的に「隠すこと」が伴い、「現前」と「不在」は不可分の対をなしていると言います。そこでは否定性や差異が作動し、視覚とのやりとりにおいて何らかの理解内容を結実させていく過程を産みだすと。佐々木にとって、それは認識の錯覚から解放され、不可視なものを感覚的なものの経験へと柔軟に交差・増幅させる場と言えるかもしれません。

絵画面に刻まれたひとつひとつの筆致やにじみ、楕円形状の波動や光のゆらぎ、身体部位の彫刻など、展示空間で広がるイメージの往還に、佐々木は自身の肉体とイメージの連鎖や運動性を見ています。例えば古来より女性のフォルムや衣服の襞の表現にも使用されてきた陶を用いた頭部の彫刻は、その施された艶やかな漆黒の釉薬が精神性や闇、月の満ち欠けへと投影され、丸めた指が輪を形取る手の彫刻には、洞窟への隠喩や彼方とこちらを結びいざなう時間性が包蔵され、やがてそれは粘度をもって形造られ反復する蔦の形象へと連続してゆきます。異なる事物を超えたこの流動的な運動は、佐々木を媒体として内的になされた経験の象徴でもあり、生成と関係性の運動、その実践は、あらゆる形象もつながりも結ばれてはまた自由に解かれうるという佐々木の考えを反映しています。そしてその循環はまた、観る者の記憶や想像力、体験へと開かれています。彼女はそこで、人間の営みの中で見落とされてきた弱さや曖昧さ、柔らかさも拾いあげ、時に鮮烈かつ生々しい手つきで生と水平性を指し示しながら、触覚的で潜勢力を持った表象へと向かっています。

スケジュール

2024年3月15日(金)〜2024年4月13日(土)

開館情報

時間
11:0018:00
休館日
日曜日、月曜日、祝日

オープニングパーティー 2024年3月15日(金) 17:30 から 19:30 まで

入場料無料
会場LOKO GALLERY
http://lokogallery.com/
住所〒150-0032 東京都渋谷区鶯谷町12-6
アクセス東急東横線代官山駅北口より徒歩7分、JR渋谷駅南口より徒歩10分
電話番号03-6455-1376
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