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ニコラ・ジュリアン 「Food Fight」

AKIINOUE
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アーティスト

ニコラ・ジュリアン
AKIINOUEでは6月7日より、ニコラ・ジュリアンの個展「Food Fight」を開催いたします。

ニコラ・ジュリアンは1985年生まれ。彫刻家、音楽家、映像作家として、ジャンルを横断した表現活動を展開してきました。ロンドンでの10年間の滞在を経て現在はパリを拠点に活動しています。独学で芸術を学んだジュリアンは、素材との直接的な関わりの中から独自の造形言語を築き上げてきました。とりわけ木材──その粗さ、堅牢さ、そして制作過程での抵抗力──に魅了され、今日ではライムウッド(菩提樹)を用いた木彫を中心とした立体作品を数多く手がけています。

その造形には、フォークアートやアール・ブリュット(生の芸術)の精神が色濃く反映されています。それらは技巧性を誇示するものではなく、むしろ素朴で率直な形態のなかに、造形することの根源的な喜びや、物語ることの欲望が宿っています。一方で、ポップカルチャーや現代の視覚言語にも通じる記号的な明快さがあります。鮮やかな色彩、シンプルで幾何学的な構成、そしてどこかユーモアを帯びたシーン。これらを通じて、ジュリアンは現実とフィクションのあいだに浮かぶ曖昧な世界を、彫刻という静的なメディアに封じ込めています。

ジュリアンの作品にはしばしば動物が登場しますが、それらはジュリアンにとって現実と想像を結ぶ存在であり、人間社会のありようを、柔らかく反射するフィクションとして用いられています。
本展「Food Fight」では、「食」をめぐる動物の進化と環境への適応の過程が、ジュリアン特有の視点で描かれます。作品のタイトルには、《Dog looking at beef》《Snake eating eggs》《Man eating an oyster》など、食物に対する欲望の瞬間が繰り返し登場します。それらは写実的というよりも、擬人化された表情と、どこか不器用なままに彫像されたフォルムにより形成され、私たちの虚しさや卑しさ、愛らしさといった感情が浮き彫りになるかのように作用します。

本展に登場する動物たちは、生存のための本能に従って動く存在であると同時に、人間によって家畜化され、管理される存在でもあります。ジュリアンはそうした動物たちの姿に、私たち自身の構造──文化に包摂されながらも本能を内に抱える存在としての人間──を重ね合わせます。制御された環境に適応してきた一方で、彼らの内には本能的な衝動が今なお潜在しています。それは、動物だけでなく、私たち自身の中にもまた存在するのではないか。作品はその問いを、静かに投げかけてきます。
「どこまでが彼らで、どこからが私たちなのか」。

動物性と人間性、野生と家畜、自然と文化。その境界線は、時に曖昧で、常に流動的です。ジュリアンの作品たちは、そうした曖昧さをそのまま内包した存在として、言葉ではなく、ただそのかたちによって私たちに語りかけてきます。

剥き出しの本能に従うように点在する作品たちとの対話を、ぜひご体験ください。

スケジュール

2025年6月7日(土)〜2025年7月5日(土)

開館情報

時間
11:0019:00
休館日
日曜日、月曜日、祝日

オープニングパーティー 2025年6月7日(土) 17:00 から 19:00 まで

入場料無料
会場AKIINOUE
https://akiinoue.com/ja
住所〒150-0034 東京都渋谷区代官山町2-3 THE ROWS 2F
アクセス東急東横線代官山駅北口より徒歩8分、JR渋谷駅新南口より徒歩10分
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