ニキ・ド・サンファル (Niki de Saint Phalle, 1930–2002) は、1930年にフランスに生まれ、アメリカで育ちました。20代前半に神経衰弱を経験し、その療養の過程で絵を描き始めたことが、芸術家としての出発点となります。1960年代には、絵の具を封入したレリーフを銃で撃つ《ティル》シリーズによって大きな注目を集め、ピエール・レスタニーが創設したヌーヴォー・レアリスムの唯一の女性メンバーとしても知られるようになりました。その後、サンファルの表現は、女性の身体、結婚、出産、社会的役割、暴力と解放といった主題へと広がり、《ナナ》シリーズによって国際的な評価を確立します。有機的なフォルムと鮮烈な色彩をもつその作品群は、彫刻の領域に新たな可能性を切り開くと同時に、公共空間、建築、演劇、映画へと活動の場を拡張していきました。その集大成として位置づけられるのが、タロットの大アルカナ22枚を元にした巨大彫刻群からなる《タロット・ガーデン》です。サンファル自身の神話体系を、建築、彫刻、庭園、そして身体的経験として作り上げた総合的な芸術空間と言えるでしょう。
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