ニキ・ド・サンファル 「Anubis / Thoeris / Horus」

ANOMALY
あと4日で開催

アーティスト

ニキ・ド・サンファル
ANOMALYでは、2026年6月10日 (水) より7月11日 (土) まで、ニキ・ド・サンファル個展「Anubis / Thoeris / Horus」を開催いたします。東京では2015年以来のニキ・ド・サンファルの個展となる本展では、古代エジプト神話を題材とした《Anubis (アヌビス)》《Thoeris (トエリス)》《Horus (ホルス)》の2メートルを超える3体のカラフルに着色されたブロンズ像を展示します。これらの作品はサンファルが1978年ごろに着手し、1998年の一般公開後も亡くなるまで制作を続けた、彼女のキャリアの集大成ともいえる南イタリアに今もある壮大な《タロット・ガーデン》と響きあう神話的想像力の展開として位置付けられます。

ニキ・ド・サンファル (Niki de Saint Phalle, 1930–2002) は、1930年にフランスに生まれ、アメリカで育ちました。20代前半に神経衰弱を経験し、その療養の過程で絵を描き始めたことが、芸術家としての出発点となります。1960年代には、絵の具を封入したレリーフを銃で撃つ《ティル》シリーズによって大きな注目を集め、ピエール・レスタニーが創設したヌーヴォー・レアリスムの唯一の女性メンバーとしても知られるようになりました。その後、サンファルの表現は、女性の身体、結婚、出産、社会的役割、暴力と解放といった主題へと広がり、《ナナ》シリーズによって国際的な評価を確立します。有機的なフォルムと鮮烈な色彩をもつその作品群は、彫刻の領域に新たな可能性を切り開くと同時に、公共空間、建築、演劇、映画へと活動の場を拡張していきました。その集大成として位置づけられるのが、タロットの大アルカナ22枚を元にした巨大彫刻群からなる《タロット・ガーデン》です。サンファル自身の神話体系を、建築、彫刻、庭園、そして身体的経験として作り上げた総合的な芸術空間と言えるでしょう。

サンファルが取り上げたAnubis, Thoeris, Horusは、それぞれ古代エジプト神話における死、生命の誕生、天空と王権の象徴であり、彼女が生涯にわたり追求した死と再生、母性、暴力と治癒といった両義的な力と変容をめぐる根源的な主題と深く結びついています。なかでも《Thoeris》は王権的・神話的な母性の象徴であるIsis(イシス)とは異なる、妊娠や出産を守護し、生命を守る力を体現する神格です。この《Thoeris》を《Anubis》《Horus》とともに取り入れた点に、サンファル独自の神話的想像力が表れています。サンファルはそれらを単なる異文化的な図像として引用するのではなく、現代における不安や欲望、身体性の変容を受け止めるための、神話的な造形言語として再構築しました。

本展において重要なのは、作家が古代神話を過去のものとして扱っているのではないという点です。サンファルにとって神話とは、固定化された歴史や象徴体系ではなく、現代においてなお機能しうる「生きた構造」でした。色彩、装飾、スケール、身体性を通して、作品は鑑賞者の感覚に直接働きかけ、合理主義だけでは捉えきれない精神的、身体的な経験の場を立ち上げます。本展は同時開催されるできやよい個展と会期を同じくします。両展を通して、装飾性や鮮やかな色彩が、感情、身体、女性性、神話的想像力を現代へと開いていく力として、あらためて捉え直す機会となるでしょう。暴力と癒し、恐怖と歓喜、死と生成。相反する力が絶えず循環するサンファルの世界は、分断と不安の時代において、いまなお強い切実さを持っています。本展が、サンファルの実践を、色彩や装飾の華やかさを超えて、神話的かつ宇宙論的な思考として再考する機会となれば幸いです。

スケジュール

2026年6月10日(水)〜2026年7月11日(土)

開館情報

時間
12:0018:00
休館日
月曜日、日曜日、祝日

オープニングパーティー 2026年6月10日(水) 17:00 から 19:00 まで

入場料無料
展覧会URLhttps://anomalytokyo.com/exhibition/niki-de-saint-phalle%e3%80%8canubis-thoeris-horus%e3%80%8d/
会場ANOMALY
http://anomalytokyo.com/top/
住所〒140-0002 東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 4F
アクセスりんかい線天王洲アイル駅B出口より徒歩9分、東京モノレール天王洲アイル駅南口より徒歩10分、京急本線新馬場駅北口より徒歩9分、JR品川駅港南口より都営バス「天王洲橋」下車徒歩4分
電話番号03-6433-2988

0件の投稿

すべて表示

まだコメントはありません

Tokyo Art Beat Mail Magazine

アートの最新情報を、毎週お届けします。
登録は無料です。