タカ・イシイギャラリー京橋この度、タカ・イシイギャラリーは、2月15日(土)から3月29日(土)まで、内藤礼の個展「breath」を開催いたします。本展はタカ・イシイギャラリー 六本木から始まり、京橋へと重なり合いながら、オスロへとつながっていきます。
本展で発表される《color beginning / breath》は、2020年、紙に絵具を置き「色彩(生)」が顕れた瞬間に心に沸き起こる純真な驚きと喜びの経験を契機とし、人間の無意識を見つめようとした《color beginning》から始まりました。同作品群は、翌年「breath」展と冠する個展(MtK Contemporary Art、京都)で発表後、2023年、作家の生へのオマージュから生まれる立体作品と絵画が一つの息吹に溶け合うように共鳴しあった同名の展覧会へと繋がっていきます(ミュンヘン州立版画素描館、ミュンヘン)。同展の制作中、「地上の光景への憧憬」は、人間の本性であるとの気づきがあり、作家は、風景を描くことを自らに許しました。2024年、「生まれておいで 生きておいで」展(東京国立博物館・銀座メゾンエルメス フォーラム、東京)で《color beginning / breath》と題された絵画は、縄文時代の土製品との出会いを通して、無意識の奥にいる「わたし」以前の人間、何億年もの間にこの世から旅立った幾多の生を投影する空間としての広がりを持ち始めます。
形式に向かうことのない地点に身を置き、心、手、指、紙、絵具、水、筆が一つになる瞬間を探求するなかで、描くための媒体は移り変わり、巡っていきます。 筆、刷毛、スプーン、紙、キャンバス、フランネル、絵具チューブ、ペーパータオル、ティッシュペーパー、そして、枝。本展を機にたどり着いた枝をはじめとする新たな媒体は、人間の意思の外に広がる野生を作家の心身に目覚めさせ、作家自身と無意識に棲む無数の生を解き放ち、人間にとっての「絵画」、ひいては「人間の本性」へと作家を導きます。
本展の制作中、内藤は白い画面を「母型」空間として感じるようになったといいます。その気づきは、画面に色を置くことで、そこにある大気や光が露わになる絵画作品を支える根であり、画面では内藤の空間作品と同質の現象が生起しているように感じられます。こうして生まれた絵画は、生と死を分けられないものとする水や水路、鏡の立体の作品群と一つの空間を生成し、私たちをとりまく事物―物、人、動物、植物、大気、光―や、死者、未生の者たちが私たちの生(呼吸)と切り離せないほど親密な関係を織りなしている世界を浮き彫りにするようです。
限りなくとりどりの色彩で成り立っているこの世界で、多様な形態と次元をもち、それぞれの内と外へと行き渡る生と息吹に心を浸透させる作家による空間を、是非この機会にご高覧ください。
Nikuya