ホールKeiryu中井輪の制作は、映画の上映会から始まります。映画を観にやってきた参加者たちは、各々の姿勢で光を受けとめようとします。こうして「鑑賞者」となった人のからだは、スクリーンの光に釘付けになり、スクリーンの光に照らしかえされ、いわばすべてが光であるような世界へと溶け出していくのですが、中井はそうした鑑賞者のからだを油彩画へと保存するのです。光を受けとめるからだは、それ自体が光点の集合であるし、映画に夢中になっているとも言えるのですが、見方によっては、無力で、無防備で、疲弊しているようでもあります。力の置きどころに迷い、重心は傾き、筋肉のこわばりを悪化させている。からだはたんに「ままならない」。中井はこの「ままならなさ」のなかに、からだが「光点」でしかないことに、私たちの生の輪郭を押し広げ返す契機を見てとっています。
映画を観ることがひとつの「生き延び」になっている。油彩画の制作が、微動だにしないからだの、思いがけない底しれなさの、肯定になっている。中井が描く人々は、特殊な状況にあるのでも特別な存在なのでもなく、迂闊なことを言えば、私たち全員がこうなのであり、ここにこそ、人間を語りだせるリアリズムがあるとさえ言えるのだと思います。なお、今回はAIR大原galleryでも個展「庶民烈伝」を開催しています。あわせて、ご覧いただけますと幸いです。
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トークイベント
日時: 2026年6月21日15:00〜16:15
登壇者: 星野太(美学者)
会場: KYOTO INTERCHANGE(半兵衛麸五条ビル2階 ホールKeiryu)
※イベント詳細・お申し込み方法は公式ホームページよりご確認ください。
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