しまだいギャラリーロジャー・エーベルハルトは1984年生まれ、スイス出身の写真家。チューリッヒとベルリンを行き来している。領土やグローバリゼーションなど、現代社会において緊迫した問題に関連するテーマとして制作活動をしている。2011年、写真に特化した出版社b.frank booksを設立。シリーズ〈Human Territoriality〉にて、「Most Beautiful Swiss Books 2020」を受賞した。彼の作品は、C/Oベルリンやビクトリア国立美術館(オーストラリア)など、世界各地で広く展示されている。
KYOTOGRAPHIE 2023では、2年に一度スイスで開催される写真フェスティバルIMAGES VEVEYがプロデュースし、2022年に同フェスティバルで展示された作品「Escapism(エスカピズム)」を展示。「エスカピズム」とは、「気晴らしや安らぎを求めて、世間や市民生活から引きこもる姿勢」と定義されている。エーベルハルトは、この「エスカピズム」プロジェクトの中核として、コーヒーフレッシュの蓋をはがしてコレクションするというスイス独特の伝統に着目した。何十年にもわたり蓋を交換しコレクションを増やす人もおり、この娯楽は一部の人々にとってある種の執着のようになっている。そうしてその蓋は、スイスの人々の想像力の中に浸透していった。蓋に描かれた写真は、驚くべきことにあらゆるジャンルの写真に及んでいる。エーベルハルトは、エキゾチックな風景を高解像度で接写し再解釈することで、コーヒーブレイクに蓋のことを考えながら日常から束の間離れるという、スイスらしい習慣の核心に迫った。そして粗い粒子の画像がその本質をあらわにし、見る者を現実に引き戻す。
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