古川諒子 「アメリカに引っ越す / アーモンドに引っ籠る」

iti SETOUCHI
12月25日終了

アーティスト

古川諒子
Setouchi L-Art Project(SLAP)は、福山市の複合商業施設「iti SETOUCHI」内の選書型書店「iti_Book Store」にて、11月29日から12月25日まで、千葉県を拠点に活動するアーティスト・古川諒子の個展「アメリカに引っ越す / アーモンドに引っ籠る」を開催します。

古川は1994年兵庫県に生まれ、広島市立大学芸術学部および芸術学研究科で絵画を学びました。近年は絵画にとどまらず、インスタレーションやパッチワークキルト、映像、アートブックなど、幅広い表現に取り組み、国内外で精力的に作品を発表しています。イメージと言葉、絵画とタイトルの関係、名前や語順といった言語の構造を主題とする古川は、「作品が出来あがってからタイトルを付ける」という一般的な名付けの主従関係を反転させる独自の制作姿勢で知られます。

古川の代表作の一つに、「カットアップ」シリーズがあります。本作では、まず身の回りにある第三者の手による文章(英単語帳や扇風機の説明書、ピアノの教本など)を収集し、それらに記載された文面を単語や文節ごとに切り分けます。次に、切り離された文言を組み合わせて多様なバリエーションで作文し、そうして生み出された一見意味をなさないテキストをタイトルに設定し、絵画を制作します。

本展では、1960年代にフランスで結成された言語実験グループ「ウリポ(Oulipo)」の制作原理に着目した新シリーズを発表します。ウリポの特徴として、言語の自己増殖的な振る舞いが挙げられます。例えば、特定の文字を用いずに文章を書く「リポグラム」や、ラテン方陣を利用した執筆方法など、数学的思考に触発された実験的な取り組みが多数行われました。

なかでも古川は、元のテキストの名詞(S)を辞書で引き、その名詞の7項目後に掲載された別の名詞に置き換える〈S+7〉の手法(語彙的平行移動)に関心を寄せ、このプロットを絵画で再構成することを試みます。例えば、 「アメリカに引っ越す」という元のテキストの中の各名詞を『広辞苑第四版』で引き、それぞれ7項目後の名詞に置き換えると「アーモンドに引っ籠る」というまったく異なるテキストが立ち現れます。

本展では、前述したウリポの手法を引用した古川のアプローチを通して、言葉の意味が変容し、破綻していくプロセスが再提示されます。元のテキストと、語彙の並行移動によって生成された不条理なテキスト、それぞれをタイトルにしてペアで制作された絵画群が展示され、ウリポの思想の根幹でもある「テキストの自己増殖」を視覚化し、新たな絵画表現の可能性を探ります。

書店内で開催される本展は、テキストに向けられた感性を刺激し、書物の潜在的な創造性がひらかれる場となるでしょう。会期中には、古川が制作したアートブックを展示・販売するほか、オープニングイベントとして、美術作家・SLAP総合ディレクターの菅亮平とのトークイベント「本というメディウムについて」を開催し、古川の作品世界への理解を深める機会を設けます。

会場: iti_Book Store

[関連イベント]
トークイベント「本というメディウムについて」
日時: 11月29日(土)18:00〜19:30
会場: iti_Book Store前 フードヴィレッジ
登壇: 古川諒子 ✕ 菅亮平(美術作家 / SLAP総合ディレクター)
参加: 申込み不要 / 無料

スケジュール

開催中

2025年11月29日(土)〜2025年12月25日(木)あと10日

開館情報

時間
11:0018:00
土曜日・日曜日は10:00〜18:00
休館日
水曜日
入場料無料
展覧会URLhttps://iti-setouchi.com/cat-event/7176/
会場iti SETOUCHI
https://iti-setouchi.com
住所〒720-0067 広島県福山市西町1-1-1 1F
アクセスJR山陽本線福山駅南口より徒歩7分
電話番号084-959-3481
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