elephant STUDIO"ZOOM"とは画家、佐野凜由輔が柔軟に作品制作を行えるよう自身で確立したコンセプト、あるいはテーマです。その概念は、佐野作品を読み解く上でとても重要になります。彼の経験や記憶、脳裏に蓄積されてきたアーカイブを素地にして、キャンバスへ放出している挙動、それを指し示しています。本人が言うには、現在の情報過多の環境において「積み上げられた多くの事柄を、自分地点から解釈し直す」ことだと。コンテンポラリーアートを通した視覚的実験とも言えるかもしれません。
モチーフをスクラップ・アンド・ビルドしながら描き上げる、正統な構図、基軸や中心をあえて欠いた作風は、鑑賞者の感情や想像力、そして、認識さえ動揺させます。規則性のない表現方法にはフィギュラティブとアブストラクト、ドローイングとペインティングが共存しており、時に色彩の層を重ね、時に主題の具象をバラし、時に抽象をも白に消し去り。レイヤーを成すことで、観る者個々の視点、捉え方によって作品が幾層にも変化しながらも、多角的に理解可能な要素として配置されています。
美術を独学した佐野は特定の様式や手法に偏らず、調和・均衡を崩して、仕上げにシリアスな緊張感を与えます。大胆な彩色がインパクトを担っていますが、一方でトーンを落とした色味との両方を使い、鮮やかな空間に余白を譲ることもあります。それは、各素材の自立性を際立たせ、維持させつつ、包括的なまとまりをもたらせたいためです。
目で見る以上にイメージは重層的。様々に考察できます。観者へ概観するだけでなく、ディテールを飽かず見入らせ、そして、押し迫り、引き込む。"ZOOM"はそういった実感を持って対峙したいコンテンポラリーアートシリーズです。
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