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[画像: 山内聡美, "WHEREABOUTS" 2023]

山内聡美 「WHEREABOUTS」

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アーティスト

山内聡美
山内聡美は音楽、ファッション、その他カルチャー誌などへの様々なコミッションワークを行いながら、自身の作品を10年以上に渡り発表してきました。近年は、現在拠点にしている東京をはじめ、幼少期を過ごしたフロリダや静岡などの様々な土地で撮影を行い、時代を感じさせる古びた看板や造形物、偶然でくわした少しおかしな状況や、人の気配のない建造物などを主なモチーフとしています。それらの写真は被写体の存在感が写実的に捉えられており、淡白なドキュメントのような表情も持ちながら、ノスタルジックかつ非現実的なイメージが表現されています。

また、山内が近年取り組む作品に、スマートフォン画面のスクリーンショットを元に制作しているシリーズがあります。素材となっているのはAIカメラによって道に沿って無感情にスキャニングされ、場所の情報を伝えるという実用的なインターネットツールとして無数に存在する画像ですが、時に構図や色のバランスが偶然的に整った、山内にとっての「完璧な瞬間」に出会います。この作品シリーズは、山内自身の幼少期の朧げな記憶を元にアナログカメラで撮影した過去の写真作品と、インターネットのマップ上に無数に存在する画像をリンクさせ、インターネット上で発見する「完璧な瞬間」にどこかノスタルジーを感じながらキャプチャーしていくことから始まっていますが、その懐かしさは本物の記憶とどこで結びついたものであるのか定かではありません。そして、それらのキャプチャーされた画像に対面した鑑賞者は、写真が撮影された背景に想像を広げ、撮影者が写真に収めたノスタルジックな感情を読み取ろうとするかもしれません。そこに説明がない限り、もしくは鑑賞者が注意深く鑑賞しない限り、単なる「綺麗な景色を写した写真」として受け止められ、そして多くは見過ごされ、ドキュメントされた写真・鑑賞者の間には大きなすれ違いが生じています。

今回発表する作品の素材となっている画像も山内にとっては何の縁もなく、訪れたこともない異国の風景で、スマートフォンの画面をスワイプさせるような淡々とした印象で並べられています。ギャラリーに訪れた鑑賞者は、まず作品を一目見て、やはり綺麗な風景写真として捉えるでしょう。そこから撮影者の意図を読み解こうと注意深く写真を鑑賞するかもしれませんが、その写真が撮られた日付や場所は鑑賞者には明らかになることはなく、場所や時間が分からない以上、現在・現実の場所の情報を伝えるインターネットツールの画像という本来の意味からも離れてしまっています。展覧会タイトル「WHEREABOUTS」とあるように、本展覧会の作品は特定の場所や時間を示さず、それらの写真は我々の感情にどこか軽い揺さぶりをかけるものではありながら、鑑賞者から非常に遠い場所のドキュメントとして残されています。そして、これらの作品は現実世界の出来事と、それらの情報を手のひらに入るスマートフォンの中で無限に手に入れることになった現代人のあり方を示しているようでもあります。

スケジュール

2023年5月20日(土)〜2023年6月18日(日)

開館情報

時間
14:0019:00
休館日
月曜日、火曜日、祝日

オープニングパーティー 2023年5月19日(金) 18:00 から 21:00 まで

入場料無料
展覧会URLhttps://parceltokyo.jp/exhibition/whereabouts/
会場parcel
http://parceltokyo.jp/
住所〒103-0002 東京都中央区日本橋馬喰町2-2-14 まるかビル2F
アクセスJR総武線馬喰町駅C4出口より徒歩3分、都営浅草線浅草橋駅A2出口より徒歩4分、JR中央・総武線浅草橋駅西口より徒歩5分、都営新宿線馬喰横山駅A1出口より徒歩8分、JR秋葉原駅昭和通り口より徒歩13分
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