国立映画アーカイブ一作ごとにアクチュアルなテーマ性と繊細な映像表現を打ち出し、国内外において現代日本を代表する映画作家と評される是枝裕和(1962-)。このたび、国立映画アーカイブと株式会社分福は、現在に至るまでの是枝の業績を振り返る特集上映を共同で開催します。
1987年、早稲田大学文学部卒業後にテレビマンユニオンに参加した是枝は、さまざまなTV番組の製作に関わりながら、1990年代以降、各TV局で放映されるドキュメンタリーの演出を手がけることとなります。とりわけフジテレビ系「NONFIX」枠で放映された「しかし…福祉切り捨ての時代に」(1991)、「もう一つの教育~伊那小学校春組の記録~」(1991)などの作品は高く評価され、内容面でも製作面でも以後の活動の基礎を築きました。
1995年、初の長篇劇映画『幻の光』がヴェネチア国際映画祭に出品。以後、『ワンダフルライフ』(1999)、『DISTANCE』(2001)など、ドキュメンタリーの経験を活かしながら自身の方法論を確立していきます。2004年の『誰も知らない』は、実際の事件にもとづいて現代社会の見えざる問題を描き、カンヌ国際映画祭で主演の柳楽優弥が史上最年少にして日本人初となる最優秀主演男優賞を獲得したことでも大きな話題を呼びました。『歩いても 歩いても』(2008)、『空気人形』(2009)、『奇跡』(2011)、『そして父になる』(2013 /カンヌ国際映画祭審査員賞受賞)など、最も新作を期待される映画作家としてつねに注目を集め、2018年の『万引き家族』はカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞しました。5月29日からは新作『箱の中の羊』が全国劇場公開、さらに今年は藤本タツキの同名漫画の映画化である『ルックバック』の公開も控えています。
本企画では、長篇映画11作品について新たにニュープリント・DCPを作製、初期のTVドキュメンタリー、TVドラマなど含め、24プログラム(30作品)を編成し、是枝裕和の作家像を紐解きます。
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