瀬戸市美術館瀬戸の磁器生産は江戸時代後期に始まり、その生産の中心となったのが青色の顔料で絵付された染付焼でした。しかし初期の瀬戸染付は17世紀初頭に始まった九州肥前の磁器と比べると品質の差があり、その差を埋めるため、後に瀬戸の磁祖となる加藤民吉は磁器製造技術習得のため九州へと旅立ちました。約3年間の修業を終えた民吉が九州で学んだ技術を瀬戸へ伝えると、瀬戸の染付磁器の品質は大きく向上し、尾張藩の一大産業として発展していきます。
明治時代に入ると、尾張藩の保護と統制が解け、自由競争の時代となります。瀬戸の窯屋たちは欧米で開催された万国博覧会に積極的に出品していき、そこで瀬戸染付の精巧なつくりと繊細な絵付は高い評価を得ることになりました。このことは後に欧米で流行するジャポニスムやアール・ヌーヴォーに影響を与えるとともに輸出拡大の契機となりました。以後、瀬戸染付は大きく発展していき、華麗な作品が数多く生み出されていきます。また技術面を始めとした近代化が図られていき、時代とともに変貌を遂げつつ現在に至っています。
本展では、江戸時代後期の瀬戸染付草創期から尾張藩の御用品として製作された作品、明治時代に海外に輸出され里帰りした作品、昭和時代の無形文化財保持者の作品までを一堂に展示します。加えて皇室で使用されている盆器を特別出品します。「磁祖加藤民吉没後200年」に当たる節目の年に瀬戸染付の軌跡を辿りながら数々の名品をご覧いただき、精巧を極めたその技と、世界を魅了したその美しさを再認識していただけたらと思います。
まだコメントはありません