LOKO GALLERYホリグチシンゴの個展タイトル「巻き直された偏西風」には、西洋を基点として連綿と続いてきた美術の文脈を捉え直し、そこに新たな方向性をもたらそうとする期待が込められている。ホリグチが近年試みている、絵画空間の中の「地」と「図」に対するアプローチや、制作の過程を幾重にも積層していく所作は、セザンヌやキュビズムの画家たちが試みた、絵画の構造そのものを問い直す探究とも重ね合わせて捉えることができる。
ホリグチは、事物とそれが存在する空間とを、絵画の内部で幾重にも重ね、編み込み、貫入させていく構造を持つ絵画を志向している。その制作態度は、時代の変化に応答して生まれたキュビズムの精神と呼応するかのように、コンピューティング技術を積極的に取り込みながら展開されている。別々の支持体に描かれた複数の図像は、コンピューター上で合成され、時に破壊されながら、行きつ戻りつする作業を通して編み上げられていく。そうして構想されたイメージは、あたかも未来から完成像が呼び戻されたかのようにして現れ、最終的には手業によって一つの絵画作品として結実する。
本展覧会での新たな試みとしては、コンピューターと手業の境界を往還するかのように、東洋絵画に見られる「ぼかし」の技法と「線」への意識を取り入れた制作が挙げられる。それは、ホリグチの制作態度がさらに遠い地点を見据えるための、新たな足がかりとなっているように思われる。本展では、こうした探究を通して形成された、ホリグチシンゴの近年における実践の一つの集大成をご覧いただけるだろう。ぜひこの機会にご高覧いただければ幸いです。
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