終了した展覧会・イベントです
Jonas Wood
Bonsai #10, 2025
oil and acrylic on canvas
16 x 16 inches
(40.6 x 40.6 cm)
 Photo: Marten Elder, courtesy of the artist and David Kordansky Gallery

「クサカ シオ と ジョナス ウッド」

両足院
終了しました

アーティスト

クサカ・シオ、ジョナス・ウッド
この秋、両足院にてクサカ シオとジョナス ウッドによる新作展を開催いたします。ロサンゼルスに拠点を置くデイヴィッド・コルダンスキー・ギャラリーとの共同企画による本展では、クサカの作品とウッドによる絵画をあわせて展示いたします。一連の作品は14世紀に建立され、京都で最も重要な禅寺のひとつとして知られる両足院の歴史や文脈を鑑みながらアーティストたち自身で選定されました。

クサカは古来からの陶芸の歴史に内在する理念を、現代的なものの見方や世界をあり方に直結する彫刻の作品として昇華させています。本展では、日本の縄文時代(紀元前約10,500〜紀元前300年)や古墳時代(紀元300〜538年)の陶芸から着想を得た作品が展示され、近年取り組んできた制作テーマをさらに深化させています。たとえば、足し引きを反復しながら形づくられていく器は、素材の扱いや視覚情報の伝達方法においては各々異なるアプローチでありながらも、 そのイメージや内容は作品において互いに響き合っています。

目のような切り込みが施された二つの円筒形の器は、大衆文化における宇宙的存在のイメージを想起させつつ、埴輪に見られる古代の造形的な力強さも想起させます。その表情にはユーモラスな軽やかさと、極めてミニマルで厳格な造形性、そして洗練された形式美が同時に宿っています。正面からは黑い表面に平面的な“目”が浮かんでいるように見えますが、角度を変えて見ると、それは明るい緑でいろどられた内側へとつながる開口部であることがわかります。平面と奥行き、内と外という関係性は、寺院建築の空間構造にも通じる重要なテーマとして作品に織り込まれているのです。

こうした関係性は、ウッドの絵画作品においても重要な要素をなしています。彼の作品では平面的に色を並置し、また物質としての絵の具を細やかに駆使することで立体感や奥行きが巧みに表現されています。たとえばJapan Cityscape(2025)では、樹木や建物、芝生の質感を示すためにさまざまな⻑さの線が用いられています。それぞれの線は全体を構成する要素であると同時に、顔料によって形成された独立した要素としても機能しています。一方、塗りつぶされた黑い空は不思議な開放感を漂わせ、寺院の奥行きのある空間や幾何学的な構造に通じる視覚的な静けさを鑑賞者に誘います。

寺院内で歩を進めていくと、クサカとウッドが互いに、また彼らを突き動かしてきた芸術的、文化的インスピレーションとして育んできた、暗黙の了解のような対話の数々に遭遇するでしょう。彼らの美学は、造形のための緻密なボキャブラリーによって幅広い情報を吸収させてくれます。言い換えれば、それぞれの個性に深く踏み込むほどに、作品が新たな状況やリファレンスを開放してくれるのです。ウッドがクサカの器をモチーフに描いた絵画や、クサカが両足院の内部空間をモチーフとして装飾した器などに見られるように、二人の作品は、制作や鑑賞が行われる空間や日常の営みそのものを包み込むような、しなやかでありながら有機的、そして寛容なアートのあり方を体現しています。

スケジュール

2025年11月13日(木)〜2025年12月10日(水)

開館情報

時間
13:0017:00
休館日
会期中無休
入場料一般 1000円、高校生以下 500円
会場両足院
https://ryosokuin.com/
住所〒605-0811 京都府京都市東山区大和小松町591
アクセス京阪線祇園四条駅1番出口より徒歩7分、阪急線京都河原町駅1B出口より徒歩10分
関連画像

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2件の投稿

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Lily

二人の互いの素材に互いの表現を表し、両足院という空間の一体感が心地いい展示 両足院はコンサバなものより、今回のような少し遊び心のある作品との相性が良いように思う