[画像: Sterling Ruby, "SPECTERS", 2023, metal, textiles, wood, gourds, 579.1 x 259.1 x 289.6 cm © Sterling Ruby / Photo: Matthew Grover]
草月会館タカ・イシイギャラリーは11月23日から12月23日まで、赤坂の草月プラザにてスターリング・ルビーによる個展「SPECTERS TOKYO」を開催いたします。今回は本展と同時に、タカ・イシイギャラリー(TERRADA ART COMPLEX II)とタカ・イシイギャラリー 京都でもルビーの個展を開催し、3つの展覧会すべてで新作を発表します。作家にとって日本ではじめてのパブリック・アートとなる本展は、イサム・ノグチの石庭「天国」を再考し、生者と死者との交流について探求したものです。
分野横断的な立体作品で知られるルビーが今回発表するのは、日本の怪談に想を得たサイト・スペシフィックなインスタレーションです。江戸時代に生まれた怪談は、日本に帰化したギリシャ人作家ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)により広く知られるようになりました。ハーンの生き生きとした直感的な視点を通して霊や超自然的な存在である妖怪の物語に没入したルビーが、おもに日本的なものの見方で、舞台のようなノグチの屋内庭園を正体不明の霊たちが棲む冥界へと変容させます。
今回の作品の元となったのは、2019年のDesert Xでのインスタレーション作品「SPECTER」です。これは荒涼としたカリフォルニア砂漠に、まるで砂漠とは対照的な蛍光色の巨大な石の直方体が置かれた作品でした。今回はそれをさらに発展させるかたちで、「妖怪(スペクター)」を、文化的背景にかかわらず感知可能ななんとも忘れ難い比喩的なオブジェへと完全に変換してみせます。
使い古しのボロボロの布や、ほかのファウンド・オブジェからなるルビーの巨大なSPECTERは、天井から吊るされ、重さを感じさせずに宙を漂っています。その空間は巨大な人形劇のセットのように、観るものを引き込みます。幽霊たちが手にした農具や金属のコイル、乾燥したひょうたんなどは、ハーンの妖怪と欧米の民話の霊の両方について直接的あるいは間接的に言及するものです。ルビーのインスタレーションはわたしたちを魅了し、怯えさせ、死者について考えさせます。彼らの不在がわたしたちにとってつらく、理解しがたいものであるということ、そして彼らが今なお、わたしたち生者の世界に紛れている可能性を思い出させるのです。
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