境内の森に常設される《The Trees Listen》は、8つの法螺貝の音を用いた作品です。西洋文化において森は孤独や追放の象徴として描かれることが多く、左遷の地で詩を残した道真公の境遇とも重なります。森や風といった自然のイメージを起点に生まれた本作。音と沈黙が溶け合う木立の中で、見えざる気配を感じさせます。
宝物殿に展示される《Shine on Me》は、初期の音響探知装置「サウンドミラー」に着想を得たインスタレーションです。スピーカーが組み込まれた3つのパラボラ状の鏡が、宙に漂うように吊り下げられてゆっくりと回転し、互いに向かい合いながら作家の声を響かせます。
「Shine on Me」という展覧会タイトルのもと、それぞれの作品が呼応して音と光、自然と人、過去と現在が響き合う空間を生み出します。木々にこだまする呼吸や鏡に集まる響きの中で、私たちを時間や距離を越えた感覚の旅へと誘います。
まだコメントはありません