ヒノギャラリーヒノギャラリーでは2026年5月25日(月)より「山本糾《写真によって励起される場》」を開催いたします。
山本糾(b. 1950)は、これまで「水」をひとつの大きなテーマに据え、そこに連関する自然はもちろん、それらを取り巻く不可視の領域を感取した作品を発表しています。被写体をそのまま撮ることはけしてしないという作家の視点は、彼が写し出す作品そのものからも見てとることができますが、「写真は縮減」とも語り、具体物しか写らないその世界をある種模型的にとらえ、自身の観念や想像を経由させることで、より広域で未知なる空間へ変容させることを試みています。
今回発表する新作は、山本が近年関心を寄せ、足を運んでいるという三重県四日市にある工業塩を扱う地帯を撮影した作品です。そこに現れた景色は、一見すると雪山や氷山のようにも見えますが、それは各国から運び込まれた工業用途の塩による、いわば人工的にできた場です。そのような環境によって出現した自然を彷彿とさせる景色、また訪れるたびにかたちを変えるさまに、作家は強く興味を惹かれたといいます。地球の貴重な資源でもある塩、その小さな結晶は世界中から集められ山脈のような体を成し、多様な目的で使用されるごとに、絶えず変化を繰り返す――その構図は自然の、もしくは、社会のそれとさして変わらず、その点で凝縮された世界ともいえ、しかし作家の視座を経ることで、その場所はより特異性をまとい、どこか宇宙的な空間へと変転しています。
今回付された展覧会タイトル《写真によって励起される場》とはまさに、観者が作品から知覚するであろうどこかに存在しながら定義し得ない場であり、作家にとってはカメラよって創出し得る無限の空間なのかもしれません。その謎めいた領域は、作家と同じく開かれた視座と豊かな想像力がなければけして見ることのできない特別な場所です。
ヒノギャラリーでは約8年ぶりの個展となります。今回は本シリーズより新作を発表いたします。空間全体を使った大画面での展示は、観るものを特異な世界へと誘うことでしょう。感覚を解放し、ご体験いただけましたら幸いです。
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