90年代のデビュー時から小粥は一貫して「どこにも存在しない場所」を主題としてきた。それはときにイデオロギーや社会の理想的なモデルへの模索でもあり、またときには精神の解放や平穏への希求、あるいは「美」という概念に対する問いかけであった。2006年にTARO NASU Osakaで展示した小粥の個展「White Hall Gift Shop」では、泥団子に象徴される「無価値のもの」を「商品」として並べ、アートにおける価値と価格の関係や、美醜と審美眼の問題や労働の視点から創造行為を考える鋭い考察等を展開した。作品を語るための舞台装置としてこのようなファンタジー(空想世界)を取り込むことは小粥にとっては現実からの逃避ではない。むしろ現実世界の再発見のための果敢な挑戦なのである。それは彼にとっては常に想像力を拡張し、既存既知の概念を批判的かつ生産的に見直すための精神の通路であり、異化効果をもたらす「鏡」の機能を果たしている。
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