KOUICHI FINE ARTS井川健氏は、ウレタンや椰子の木の葉、松などの素材を用い、漆の立体作品を制作するアーティストです。
乾漆の技法を駆使して幾度となく塗りと研ぎを繰り返すことで、呂色仕上げの凄みのある艶を表現し、驚くほどシャープなフォルムに漆の艶を生み出しています。支持体に使用する椰子の葉や木材の形状を生かした流線型のフォルムもまたユニークで、海や波を連想させます。
今回の展覧会に向けて、井川氏は従来の作風とは異なり、表面に凹凸のある松材に漆を塗り、敢えて木の質感を感じさせる作品制作に挑戦しました。
細かな松材をこくそ漆で貼り合わせながら、思い思いの方向に支持体を畝らせ、繋ぎ合わせることで形成されたフォルムの表面には偶然生まれた無数の凹凸があり、その表面に漆が重なることで、新たな魅力を生み出しています。
井川氏は、「漆の黒には素材が発する力があり、それを広い面に展開させて、さらに素材の力を表したい」と語っています。彼の作品は、緩やかな曲面が周囲の空間を映し出し、鑑賞者の視点の移動に応じて形が変化することで、漆の黒が持つ魅力と面白さを引き出しています。
今回の展覧会では、井川健氏の新たな作品制作に挑戦した姿勢を多々垣間見ることができ、彼の作品が持つ美しさと独創性を再認識する貴重な機会となっています。
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