兵庫陶芸美術館兵庫陶芸美術館では国内外で活躍する著名な作家を招聘し、若き作り手たちに刺激を与えるとともに、幅広い人々により深く陶芸に親しんでいただくため、2006年より「著名作家招聘事業」を実施しています。第18回となる今回は、鋳込みによる四角い筒状のパーツを組み上げ、焼成後にたたき割ることで独自の造形を展開する竹内紘三氏(1977- )をお迎えします。
兵庫県加東郡社町(現 加東市)に生まれた竹内氏は、大阪芸術大学で陶芸を学んだ後、多治見市陶磁器意匠研究所(岐阜県)へ進みました。2004年に地元・加東市にアトリエを構え、本格的に作家としての活動をスタートさせます。
幼い頃から幾何学的な形態やその集積に魅せられていたという竹内氏は、幾何学的な形態の構築と破壊という相反する要素を合わせ持つ《Modern Remains(現代遺跡)》シリーズによって、自身の造形感覚や美意識を提示していきます。遺跡や朽ちた建造物が持つ儚さや力強さ、失われた部分と現存する部分のバランス、作られてから現在までの時間軸などの、風化したものが醸し出す独特の気配や美観を表現した《Modern Remains》は、露わになった鋭利な白磁の断面と、均衡を保ちながら自立した斜の構造が緊張感のある美しさを作り上げています。2014年頃からはガラスや木、漆、金属といった異素材を取り入れた作品も制作し、磁土という素材の特質が相対的に引き出されています。また、釉薬を削り、荒い表面に仕上げた、陶土のタタラ(土の板)による《現蹟》シリーズは、作品の構造や古びた建築物の堅牢さといったイメージを一層強く訴えかけるものとなっています。
記憶や回想を意味する「Recollection」は、竹内氏の造形に「跡」・「蹟」という文字があてられ、それが一種の過去に結びつくことに由来するとともに、本展を記憶に留め、これからへと繋げていくといった意味も込められています。竹内氏の造形は、多様な表現が生まれ、その領域が広がりを見せる現在の陶芸シーンを読み解くヒントにもなるでしょう。本展では、初公開の新作も交えながら磁土と陶土、さらに異素材を組み合わせた作品までを展観することで、竹内氏の立脚点を探るとともに、多様化する陶磁による表現の魅力に迫ります。
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