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松下竜也 「EMO-GEO」

MARGIN
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アーティスト

松下竜也
この度、MARGIN では松下竜也(1982年-)の個展「EMO-GEO」を開催いたします。松下竜也は、1988年愛知生まれ。2006年に東京藝術大学美術学部を卒業後、2022年からニューヨークに活動拠点を移し、現在は松山智一氏が率いる松山スタジオで3DCGデザイナーとして働く傍ら、自身の制作に取り組んでいます。松下はこれまでに発泡ウレタン、3Dペン、樹脂、ブロンズなど様々な素材や道具を使い、絵画やオブジェなど多岐に渡る作品制作を続けてきました。

本展の平面作品において、松下は抽象的な形とテクスチャーを通じて、人間の感情と理性の関係の視覚的メタファーを作り出しています。作品の上段には、3Dプリントに使われるABS樹脂を3Dペンによる熱で溶かすことによって生まれた木目の細かい粒が塗り付けられており、松下はこれらの粒を小腸の内壁を埋め尽くす絨毛の突起に見立てています。腸は第二の脳と呼ばれ、情動を司る器官とも言われていて、松下はこの質感のある面を感情のメタファーに置き換えています。

その下部には、ブラシストロークの痕跡が残る四角いカラーフィールドが広がっており、松下は四角という外界には存在しない抽象形態を、脳の認識として存在するものと捉え、四角い色面を脳、つまり理性のメタファーとして使用しています。色面の中に水平と垂直がいくつも折り重なるように縦横に線が入っているように、オプティカルな要素を組み込むことで、揺らぎを表現しています。

松下は、作品について「すべて人間を描いている」と言います。平面作品を人間の身体の構造と比較すると、腸を表す質感のある内臓のような部分と脳を表す堅固で整然とした部分の位置関係は、上下が反転した画面構成になっています。この反転は、松下が強く影響を受けた解剖学者で、生理学や発生学の観点から、現代人が喪失した自然が本来持っているリズムと、それを司る内臓感覚の優位性について論じた三木成夫の考え方にも通ずるものがあります。

また、松下が近代の日本美術を研究する中で見い出し、これまでの作品でも取り組んできた「視覚的触覚性」というコンセプトは、本展の作品にも引き継がれており、挑発的な作風で知られる前衛作家の工藤哲巳を思わせるような、視覚的にも訴えかける独特な質感へのこだわりを感じさせます。

本展のタイトルでもある「EMO-GEO」は、松下の新作に通底する独自のコンセプトです。60年代以降のミニマリズムの動向を再解釈し、80年代に出現した幾何形体を社会の秩序のメタファーとして読み替え、ボードリヤールのシュミラクルについての考察を参照した「ネオ・ジオ」に由来します。松下はそれをさらに再解釈し、幾何的学なカラーフィールドに有機的なテクスチャーを入れ込むことで、感情や共感で人々が動員されていく現代社会をコンセプチュアルに表現することを試みます。

東京での個展の開催は実に13年ぶりとなる本展では、松下の平面と立体の新作を約10点ほど発表いたします。3月1日は松下竜也がニューヨークから一時帰国し、オープニングレセプションを開催します。この機会に松下の新作を是非ともご高覧ください。

スケジュール

2024年3月1日(金)〜2024年3月23日(土)

開館情報

時間
12:0019:00
休館日
日曜日、月曜日、祝日
入場料無料
展覧会URLhttps://margingallery.jp/tatsuyamatsushita-exhibition
会場MARGIN
https://www.instagram.com/margingallery_jp/
住所〒103-0003 東京都中央区日本橋横山町4-10
アクセス都営新宿線馬喰横山駅A1出口より徒歩1分、JR総武線馬喰町駅1番出口より徒歩徒歩1分
電話番号070-4000-8007
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