大田区立龍子記念館日本画家・川端龍子(1885-1966)は今年、生誕140年を迎えます。昨年、富山県水墨美術館、岩手県立美術館で開催された「川端龍子展」は、今年はさらに島根県立美術館、碧南市藤井達吉現代美術館(愛知)に巡回します。また、龍子記念館および記念館に隣接する旧川端龍子邸が、国の登録有形文化財(建造物)に登録され、その功績は多方面にわたって評価が高まってきているところです。そこで本展では、龍子の生誕140年を記念して、当館が所蔵する代表作を中心に、龍子が生涯にわたって描き出した世界を紹介します。
親交のあった日本画家・奥村土牛(1889-1990)は、龍子の画家としての歩みを回顧し、「自分の思うままに、その生涯の仕事をなしつくして散った」と評しています。同様に伊東深水(1898-1972)も、「敢然として自分の主義主張を曲げずに、最後までやり通した」と述べています。両巨匠の語る龍子が成し遂げたこととは、いったいどのようなことだったのでしょう。最晩年には、作家・佐藤春夫にして、「明治以来、今日までのわが芸術界にあって名匠や妙手なら決して少なくもないが、真に巨匠と呼ぶにふさわしいのは、ただひとり川端龍子ぐらいなものではないだろうか」と称えられた龍子の画業を、本展では「大作主義への挑戦」、「青龍社の設立と『会場芸術』」、「晩年の作品制作」の3期に分け、その足跡を振り返ります。龍子が大画面の作品を追求し始めた記念碑的作品《一天護持》(1927年)や日中戦争下に戦闘機を描いた《香炉峰》(1939年)、終戦と戦争の悲惨さを象徴的に表した《爆弾散華》(1945年)、自らがデザインした垣根を作品化した《龍子垣》(1961年)等の代表作を通じて川端龍子の描き出した世界をお楽しみください。
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