宇都宮美術館本展覧会は、25周年を迎えた当館の歴史をまとめた年譜と共に、準備室時代の資料などを展示する空間から始まります。続く展示室Ⅰでは、残された資料を基に、1997年の第1回コレクション展の再現を行います。図鑑の1ページのように、作品を見るために純化されたホワイトキューブにおける再現展示は、さながら25年前へのタイムスリップとなることでしょう。
続いて来場者が目にするのは、「時間」という目に見えないものに色と形を与えることで、時計やカレンダーとなったデザイン作品です。風景画を中心としたコーナーでは、山並みなど不変的な光景を捉えた作品群が一堂に会します。さらに、本展は、世界が戦争の恐怖に包まれた1919-1943年の25年間に制作された日本とドイツの作品群を集めたコーナー、当館のコレクションの代表的な作家であるマルク・シャガールの生涯を追う特集へと続きます。
さて、上記の当館の歩みとコレクション作品の紹介が、当館の「これまで」であるとしたら、「これから」を見せるのは、3名の招聘アーティストの作品です。大巻伸嗣は、その代表作の1つ、岩絵具によって花々を描き出す作品『Echoes-Infinity』シリーズの新作を制作します。大巻はこのシリーズで、花柄や伝統的な文様を用いて、私たちの文化や記憶を鮮やかに描き出し、それらを見つめなおす空間を作り出してきました。今回外光が差し込む吹き抜けのホールに現われる新作は、美術館のある森と調和し、美しく詩的な考察へと鑑賞者を誘います。髙橋銑は、美術作品の保存と活用のジレンマを鋭く提示し話題となった映像作品《二羽のウサギ》に加え、当館での下見から着想した写真の新作を手掛けます。力石咲は、これまでベンチ、建物、樹木などを色鮮やかな毛糸で編み包む作品を発表してきました。今回は、編む行為によってつなぐというテーマを深化させ、糸をほどく事に意味を持たせる新作を構想しています。彼/彼女たちの作品は、コレクションや宇都宮美術館の歴史に新たな視点をもたらし、鑑賞者を美術作品と時間をめぐる深い思索へと導くこととなるでしょう。
[関連イベント]
1. 講演会 「コレクションを魅せる!テーマ展の今日的な課題と可能性」
日時: 10月15日(土) 14:00〜16:00
会場: 宇都宮美術館 講義室
講師: 松岡剛 氏(広島市現代美術館主任学芸員)
聞き手: 伊藤伸子(宇都宮美術館総務学芸課長)
定員: 80名
2. 担当学芸員による見どころガイド
日時: 12月3日(土)、10日(土)、17日(土)、24日(土)いずれも14:00〜15:00
会場: 企画展チケットをお求めのうえ、受付前にお集まりください。
※イベント詳細・お申し込み方法は公式ホームページよりご確認ください。
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