PGIPGIでは三回目となる、潮田登久子の個展「玉里文庫−鹿児島大学附属図書館貴重書庫の景色−」を開催いたします。
潮田登久子は1960年に桑沢デザイン研究所に入学し、石元泰博、大辻清司に師事。1963年に同校を卒業後、同校及び東京造形大学の講師を勤めながら、1975年頃から写真家としての活動を本格的に始めました。代表作『冷蔵庫』にみられるように、潮田は身近な対象そのものを写しながらも人々が積み重ねてきた時間や佇まいを静かに浮かび上がらせてきました。
本展は、潮田が20年以上にわたり撮影を続けている「BIBLIOTHECA/本の景色」シリーズの最新作になります。これまでに『みすず書房旧社屋』(幻戯書房 2016年)、『先生のアトリエ』(ウシマオダ 2017年)、『本の景色/BIBLIOTHECA』(ウシマオダ 2017年)を、写真集や写真展を通して発表し、書物やその周辺の魅力を描き出してきました。
前作『本の景色/BIBLIOTHECA』は、ふと手元にあった一冊の本の美しさに心を奪われ、「本をオブジェとして撮ってみたい」と感じたことがきっかけとなり始まったシリーズで、公立図書館や大学図書館、個人の蔵書、師である大辻清司のアトリエなどを訪れ、本が重ねてきた時間や空間の記憶、その存在感を捉えてきました。
シリーズ第四作目となる本作品は、鹿児島大学附属図書館に収められている「玉里文庫」や、同館貴重書庫に収められている他の貴重書の景色を、2019年から3年かけて撮影したものです。玉里文庫は、薩摩藩主・島津家の分家である、島津久光が興した玉里島津家に伝わる蔵書群で、歴史資料や和漢書を中心に約18,900冊にのぼる膨大な文献を収蔵しています。
島津家は、鎌倉時代から幕末・明治維新にかけて、約700年にわたり南九州を治めた大名家。その伝来文書は現在、4か所に分散して所蔵されていますが、鹿児島大学の玉里文庫は、学術的価値の高いコレクションの一つとされています。
撮影は書庫内の室内灯と隣室の窓から差し込む自然光の下で行われ、美しいモノクロとカラーによって、収蔵の面白さと書物の静謐な存在感や収蔵空間の佇まい、史料に宿る歴史の重みまでが豊かに描き出されています。
まだコメントはありません