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[画像: Tomohito Ushiro, SHIBARU, 2022, acrylic on canvas, 180.0 x 132.7 cm]

後智仁 「Pointed」

MAKI
終了しました

アーティスト

後智仁
このたびMAKI Galleryでは、日本人アーティスト後智仁(うしろ ともひと)による初個展「Pointed」を表参道ギャラリースペースにて開催いたします。長年アートディレクターとしてデジタル上のパフォーマンスで第一線を走り続けてきた後にとって、物質的な作品のみを発表するという正に新境地となります。「Pointed(尖った)」と名付けられた本展は11点のキャンバス作品と3点の立体作品で構成され、後のこれまでのデジタル創作が物質的なテクスチャーを持つ作品へ移行する過程に伴い、過去の活動との共鳴や発展、または差別化されることへの思考が可視化されています。

今回展示する平面作品に対し後は “コンセプトは「有機的な曲線上の点を減らすことによる直線化が起こす絵の崩壊とその段階」。僕がこれまで影響を受けたキャラクターや広告、ピンナップなど具体的で完成されたイメージの曲線から点を減らすことで、そのイメージの持つ具体的な意味や役割を曖昧にし、元の役割とは全く違うものを作るというものです。曲線から点を減らすことで、その線は直線化しツンツンと尖ったもの(Pointed)となっていきます ”と語っています。それら後のペインティングには、マクドナルドのキャラクターやシャネルの香水の広告、時にはSM雑誌のビジュアルなどが引用されています。「Donald」「Donaldland」は、後が生まれた1971年に日本に上陸したマクドナルドの広告がモチーフです。“アメリカのスゴいのがやって来たというので、小学生の頃よく家族で銀座に食べに行きました。初めて意識したアメリカカルチャーであり、そこに登場するドナルドやその仲間たちは、アメリカカルチャーの伝道師のように思えました。この作品のために使用したのは、70~80年代のマクドナルドの広告コミュニケーション用のビジュアルです”と当時を振り返り後が語るように、アーティストが幼少期より大いに影響を受けた海外からもたらされる文化やトレンドアイコンが作品へ反映されています。ペインティングの制作過程は、まずモチーフを選び、デジタル上でそのイメージを直線化することで元の役割を限界まで排除していきます。明確なコンセプトで構成された無駄のない画面と比例して、色彩はエアブラシによる吹き付けが何層も重ねられ、深く重厚な色合いとなりシンプルな構図とのバランスを保っています。一度画面全体をマスキングでブロッキングして各色を仕上げたのちに、各色面に再びマスキングを施し納得する色調になるまで同系色で吹き付けていくという工程を何度も繰り返します。極限までそぎ落とされたフォルムでありながら、果てしない回数の加色は後のペインティングとしての品格を保つことに成功しています。

立体作品の「Balloon」シリーズでは、後の内面的な葛藤を表しています。柔らかい風船が硬い木材に挟まれ、押しつぶされそうになるギリギリのところで堪えている、そのもっともせめぎ合っている部分(Pointed)に注目しています。ここでは力学的な強度は木材が優勢ですが、ビジュアル面ではポップなイメージを持つ風船が上回ります。真実より噂が正しいとされ、派手さが正義に結び付くような、価値が混沌とする現代で本当の “強さ ”についてジレンマを抱えるアーティストの心境を可視化したのです。“そこは自分でもはっきり整理できていないのですが、僕自身がプレッシャー中毒みたいなところがあるのではないかなぁと。常にプレッシャーがかかる方かかる方に引き寄せられている気がします。そういう意味では、風船は僕自身なのかもしれませんね ”。

後の創作活動の新たな一ページとアーティストとしての世界観、そして圧倒的な品格を備える作品群を是非会場でご高覧いただければ幸いです。

スケジュール

2022年12月3日(土)〜2023年1月21日(土)

開館情報

時間
11:3019:00
休館日
月曜日、日曜日
12月25日〜1月9日は休廊
入場料無料
展覧会URLhttps://www.makigallery.com/exhibitions/7487/
会場MAKI
https://www.makigallery.com/ja/
住所〒150-0001 東京都渋谷区神宮前4-11-11
アクセス東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅A2出口より徒歩2分、東京メトロ千代田線・副都心線明治神宮前駅5番出口より徒歩6分、JR山手線原宿駅東口より徒歩10分
電話番号03-6434-7705
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