タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー / フィルムタカ・イシイギャラリー フォトグラフィー / フィルムは12月19日(金)から1月31日(土)まで、村越としやの個展「星の果て 山に眠る舟」を開催いたします。本展で展示されるのは、2011年以降、村越の地元・福島県内で継続して撮影しているシリーズの最新作です。これまでに発表された『大きな石とオオカミ』『火の粉は風に舞い上がる』『濡れた地面はやがて水たまりに変わる』『より深い静けさのために風に唱う』に続く5作目として、2019年1月から2020年12月までに撮影された作品より15点で構成されます。
2011年3月の震災と津波による原発事故は放射性物質の拡散を引き起こし、五感では知覚できない物質が確かに存在してるという事実を私たちに突きつけました。それは私たちが日常で多くの物事を見逃し、知覚し損ねていることを問い直す契機になったともいえます。
写真を術とする村越にとって、「見る」という行為は最も重要な要素の一つです。特に、以前から見続けてきた故郷・福島の風景は震災以前・以降で何が変わり、何が変わらなかったのか。それを考えるためには、外部の情報やメディアが語る「物語」といった先入観に惑わされず、ただ目の前の風景を凝視し、それらが語りかけてくるものに耳を澄ます必要があったといいます。福島で生まれ育ち以前から撮影を続けてきた作家にとって、避難区域や立ち入り制限が設けられた光景を前にしたとき、それはこの土地で写真を撮るという行為そのものの意味と覚悟を根本から問い直す痛みを伴う気づきの始まりでした。
私たちは何を『見ようとし』、何を『見ようとしない』のか。その問いの狭間で撮影を続ける村越にとって、この問いを手放さずにいること自体が、写真を撮る動機になっています。本展の作品群もまた、土地の記憶、人々の記憶、そして「見る」行為についての省察を私たちに促します。
また本展の開催に合わせて、前作『より深い静けさのために風は唱う』の作品集がZEN FOTO GALLERYより刊行されます。
Nikuya