美術紫水AIを用いた制作に高い関心を持つ、二人のアオイによる展覧会。避けられないであろうAI普及によるクリエイター失職の未来と、利便性や効率を越えたこだわりの先にある技としての芸術について、テクノロジー普及と失業の歴史、あおいうにと七瀬葵の活動の変遷から考える。
あおいうにのメディアは抽象表現主義の絵画であるが、AIによるキャラクターデザインをキャンバス転写し、その上にアクリルでの加筆を行う。あおいうにはアニメ、ゲーム等のキャラクターデザインの影響を強く受け、趣味でも愛好する一方で、制作においてはキャラクターアートではなく抽象表現を好む傾向にある。抽象表現の絵画は、共感覚的に色や形態から作者の見たものを感じ取れない者にとっては、観づらい形式となること請け合いである。しかし一定の具象的な形態を背景として抽象表現が現れる場合、背景の具象を糸口として作者がそこに見たものを同じように感じ取りやすい。AIが描いたキャラクターは、見事にあおいうにの表現の背景として機能するであろう。そこで自信を失ったと語る七瀬であるが、彼女のカラーインクで手描きされた90年代的なキャラクターイラストを見て、これは日本の芸術としてアーカイブするに相応しい作品であると信念を持つことができた。
その一方で、イラストレーター、漫画家、アニメ・ゲームのキャラクターデザイン担当として長く活動してきた七瀬葵にとってはキャラクターこそが専ら制作の主題である。そんな彼女だがAIの出現と共にただちに強い危機感を持ち、いち早くAIでの作画に取り組み始めたことがこの数年間、注目され続けてきた。AIでの制作には、どの領域においても賛否両論である。しかし七瀬が日頃から強く訴えるように、AIが認めざるを得ない技術のひとつとなることは避けられないと考える。
本展覧会は、最新のAIと流行の作風、手描きのアナログ制作と歴史的作風までを展望する、思いかけない展覧会となった。
まだコメントはありません