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「Women in Abstraction」

GALLERY HAYASHI + ART BRIDGE
終了しました

アーティスト

新井碧、今実佐子、三瓶玲奈
GALLERY HAYASHI + ART BRIDGEはこの度、グループ展「Women in Abstraction」を開催いたします。本展は、抽象絵画を制作する女性アーティストに焦点を当てたもので、第一回目となる今回は、新井碧、今実佐子、三瓶玲奈の三名の作品を発表いたします。展覧会は2025年6月7日(土)から7月5日(土)まで開催されます。

近年、世界各地で女性抽象表現作家の活動に注目が集まり、2016年のデンバー美術館「Women of Abstract Expressionism」展、2021年のポンピドゥー・センター「Women in Abstraction」、2023年の東京国立近代美術館「女性と抽象」など、多くの展覧会が開催されてきました。これらの展示では、ヒルマ・アフ・クリント、ジョージア・オキーフ、ジョアン・ミッチェル、桂ゆき、毛利眞美など、女性作家たちの作品の再評価につながっています。彼女たちは、男性中心の美術史の中で十分に評価されることがなかった才能であり、その作品は現代においても新たな発見と感動をもたらしてくれます。本展は、こうした世界的な再評価の流れを受け、現代の日本の女性抽象表現作家の活動に焦点を当てたグループ展です。第一回目となる今回は、新井碧、今実佐子、三瓶玲奈の三名の作品を発表いたします。一様に「女性の抽象絵画作家」という枠組みになりますが、各々が異なる表現を追求しています。

幼いころから身体的な弱さを抱えていた新井碧は、常に自身の身体の有限性と向き合いながら生きてきました。「今、この瞬間を生きること」に焦点を当て、無意識的動作を強調したブラッシュストロークを主に扱う新井の創作は、彼女の生きた痕跡を世界に記述し残す行為とも言えます。1970年代以降のモダニズムにおいて、白人男性が標準的な存在として想定されてきたの中で、日本人で、かつ女性であり、必ずしも力強いとは言えない体躯を持つ彼女があえて彼らと同じ画材を扱い、抽象的な表現に取り組む姿勢は、西洋・男性中心的な美術史の構造を問い直す契機となるでしょう。

今実佐子の作品は、口紅やファンデーション、アイシャドウなどの化粧品を用いて紙の上に描かれています。鮮やかなピンク色が特徴的な彼女の作品は、化粧品本来の役割を超え、抽象表現の新たな可能性を広げています。化粧品を日々画面に塗り重ねることで、彼女自身の内省的な部分が表出し、自らの精神世界や日々の軌跡が画面に投影されます。自身の身体を飾る化粧品を用いながらも、表面的な装飾ではなく、作家自身の時間と存在が深く刻まれた作品はまるで自画像のように浮かび上がってきます。また、毎日化粧品を塗り重ね、完成したその日を作品タイトルとしているそのミニマルでありコンセプチュアルな手法は、河原温のDate Paintingを彷彿とさせます。

三瓶玲奈の作品は、風景や自然物、そして光の変化をモチーフに制作されています。完成した作品はその風景や自然物を抽象化した姿のように見えますが、その制作過程には長年にわたる研究と観察が含まれています。作品がもつ抽象的なビジュアルとは対照的に、制作過程における考察や感覚は極めて具体的です。そのアプローチは、ジョージア・オキーフが自然の中で見出した対象を繰り返し描き続け、モニュメンタルな表現へと昇華させた手法にも通じているでしょう。本展示では、”線の像を結ぶ”や”The Face”の作品シリーズを発表します。これらの作品は、三次元的な要素や光の表現を画面上に落とし込むことをテーマとしており、彼女の作品群の中でも特に抽象性を含んだものとなっています。

動作的なブラッシュストロークを活かしたアクション・ペインティング的要素を持つ新井の作品、ミニマルかつコンセプチュアル・アートとしての側面も持つ今の作品、具象と抽象を行き来しながら光の表現を追求する三瓶の作品。同じ抽象絵画の枠にありながら、三者三様の個性と技法がそれぞれ独自の方向へと広がっています。抽象絵画は、単なる様式にとどまらず、多様性と自由、そして無限の可能性を内包しています。その開かれた精神は、いまだに権威主義的な男性中心の価値観が根付く美術界において、周縁とされてきた作家たちを照らし出す力となるでしょう。

スケジュール

2025年6月7日(土)〜2025年7月5日(土)

開館情報

時間
11:0019:00
最終日は17:00まで
休館日
日曜日、祝日

オープニングパーティー 2025年6月7日(土) 18:00 から 20:00 まで

入場料無料
展覧会URLhttps://g-hayashi-artbridge.com/exhibition/women-in-abstraction/
会場GALLERY HAYASHI + ART BRIDGE
https://g-hayashi-artbridge.com/
住所〒104-0061 東京都中央区銀座7-7-16
アクセス東京メトロ銀座線・日比谷線・丸の内線銀座駅B3出口より徒歩5分、JR新橋駅銀座口より徒歩5分
電話番号03-3571-4291
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