令和3年から始まった、ヒューマンコンピュータインタラクション研究の第一人者であり、メディアアーティストの落合陽一と日下部民藝館のコラボレーションは、飛騨の地で育まれてきた歴史や自然、伝承された数多く物語を考察することによって浮かび上がった優れたモチーフを、落合が探求している「デジタルネイチャー」の思想と掛け合せ、重要文化財日下部家住宅の空間全体を用いてインスタレーション表現をする、他に類をみない独自のアートプロジェクトです。令和4年度の「遍在する身体 交錯する時空間」展に続き 令和5年度に開催する本展は、プログラミングの設計における「オブジェクト指向」の考え方と、現代思想の新たな哲学理論で用いられる「オブジェクト指向存在論」を中心に据え、今まさに日進月歩で進化する AI 技術がもたらす人類の新たな転換点、「デジタルネイチャー」の世界に対する落合の芸術的計算機科学的哲学的探求を追体験する展覧会です。オブジェクト指向プログラミング、オブジェクト指向オントロジー(存在論)、真言、般若心経、民藝など、さまざまな思考法、概念、哲学のレンズを通して描き、物質(タンジブルなオブジェクト)と非物質(イメージやリアリティ)世界が相互に変幻する自然(落合がたどり着いた時空を超えた普遍的世界観)をメディアアートを用いて顕現させる試みとなります。
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