parcelこの度、parcelでは、石毛健太のキュレーションにより、ロッテルダムを拠点に活動するアーティスト Yoshinari Nishiki による個展「BANANA STOCK / バナナで備える未来」を開催いたします。本展は、Nishikiにとって日本で初めての個展となります。
Nishikiは、物流や流通、資源循環といった社会インフラの仕組みに介入し、それらを新たな価値の生成装置として再構築するプロジェクトを展開してきました。これまでに、バナナの無限増殖を題材にした「Banana Multiplier」(2013年)、ハトを用いた合法的な乗車券リサイクルシステム「Homing Pigeon Unused Ticket Delivery System」(2014年)、宅配便を介さない無料輸送システム「Contingent Cycle Courier」(2019年)、外来植物から作られたエナジードリンク「EROI Drink」(2020年)など、既存の制度や流通経路を転用した多様なプロジェクトを発表してきました。また、資本主義システムの内部に入り込み、その構造を内側から再編成する社会彫刻として、TOFU(Technology of Future Utopia)を創設。物流システムやサプライチェーンへ介入するアートプロジェクトや社会実験を実践しています。
2023年以降、Nishikiは「(un)making」という概念を提唱しています。(un)makingとは、リサイクルやアップサイクルとは異なる、気候変動に対する予防的アプローチです。既存のモノや制度を脱構築し(Deconstruction)、それらの要素を本来の用途から逸脱させながら(Disobedience)、個人やコミュニティの生存のために新たな価値として再接続する(Reconstruction)。それは、資本主義的な価値体系とは異なる生存戦略を模索する試みでもあります。
本展で発表される新作《Banana Fallout Shelter》(2026)は、この(un)makingの実践を提示する社会実験的プロジェクトです。
現在世界中で消費されているバナナの品種「キャベンディッシュ」が近い将来絶滅するという仮説のもと、缶詰バナナへの代替投資を行い、バナナの備蓄=「Banana Stock」を形成します。こうして生まれた(un)madeのバナナストックは、絶滅後の未来において新たな価値を帯びる可能性を持っています。資源、流通、投資、そして未来の価値。Nishikiの実践は、それらを前提として成り立つ現在の経済や生存の仕組みを、ユーモアと批評性を交えながら問い直します。
まだコメントはありません