CADAN大手町このたびタグチファインアートは、CADAN大手町に於けるポップアップ展示として、上記の期間3週間にわたり中川佳宣(なかがわよしのぶ)の個展を開催いたします。中川佳宣は1964年大阪府生まれで現在滋賀県在住。大阪芸術大学を卒業した1987年の初個展以来、大阪、愛知、東京等のギャラリーで継続して個展を開催、また国内各地の美術館におけるグループ展、芸術祭で作品を発表してきました。それらの作品は、東京国立近代美術館や和歌山県立近代美術館をはじめとする国公立美術館や、昭和シェル石油など数多くの企業に収蔵されています。
中川は一貫して「芸術家と作品との関係」を「農夫と作物との関係」によく似たもの、アナロジーとして捉え、植物と人間との関わり、すなわち農耕や栽培、農業という人間の根源的な営みや、植物の構造そのものをモチーフに作品制作をしています。ジャクソン・ポロックが床に置いたキャンバスにドリッピングで絵具を置いていく姿は、彼にとって畑に種を蒔く農夫の姿と重なるものです。中川も農夫が大地に種を蒔くようにキャンバスに絵具を置き、農夫が畑を耕すように素材に形を与えます。様々な素材を自在に操る職人的な手技や作品の素朴な佇まいから漂う豊かな詩情により、彼の作品はこれまで多くの人々を惹きつけてきました。
今回の個展のタイトル「種の視点・農夫の目 (views of seeds, eyes offarmers)」は中川が作品制作を始めた当初から制作の原点・基準となっている言葉です。様々な実験・試行錯誤を繰り返しながら約40年の歳月を経た現在、このコンセプトは自らの制作の本質としてますます強く意識されるようになってきました。1995年に開催された資生堂ギャラリー (東京) に於ける個展の図録所収のテキスト『寡黙な詩的世界』において、美術評論家の乾由明氏は中川の作品群を次の4つのカテゴリーに分類しました。
1.「蒔くもの」 農夫のメタファーである鋤や鍬などの農機具 (あるいは農作業をする農夫の身体) にもとづくフォルム
2.「貯えるもの」 種壺の作品
3. 「蒔かれるところ」 大地、すなわち畑、畑の畝を意味する (線を主体にした) 作品
4. 「蒔かれ、貯えられるもの」 植物の種子をドットで表現した作品です。これらに
5. 「植物の形態や構造そのもの」をモチーフにした作品群を加えることができるでしょう。
本展は、これら5つの作品群それぞれを代表する作品を旧作と新作から選び、小規模な回顧展として中川のこれまでの仕事を一望できるよう展示を構成いたします。この機会にその作品世界をぜひご高覧下さい。
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