VOILLD(ボイルド)この度VOILLDは、西雄大による新作個展「BLUR(ブラー)」を開催致します。本展は2024年に開催された個展「Smooth(スムーズ)」 に続く、VOILLDでは八度目の新作展となります。
西雄大は愛知県出身のペインターです。西の作品は、柔らかに構成されたフォルムと選び抜かれた配色、既視感のあるモチーフが変容し、独自の形体になった物によって構成されています。それらは彼のルーツともなる80年代のアメリカンコミックやヒーロー、ストリートアートなどの影響を受けながら、イラストレーションやデザイン、建築など、自身の多方面にわたる興味や経験から生み出されています。一見するとコミカルでシンプルに見える作品群は緻密な構図と筆使いで描かれており、現代においての物質に対する価値観や、複雑に入り組んだコミュニケーションの形、多様化する個性の在り方への皮肉などが巧妙に隠されています。身近なモチーフを通して日常に潜む様々な問題をユニークに単純化し、直感的にその訴えを感じ取ることができるほど簡潔に構築された作品は、見る者を試しているとも言えるのです。
本展「BLUR」では、これまで西の作品を象徴してきた力強いアウトラインをあえて描かず、輪郭をぼかすことで新たな視覚的アプローチに挑んだシリーズが並びます。自身の制作スタイルを見直し、あえて線を“引かない”という選択をしたことで、むしろ画面の構造はより明晰に、作品の輪郭はより鮮明に、立体的に浮かび上がるという新たな感覚に至ったと西は語ります。境界の不在がもたらすのは曖昧さではなく、モチーフや構図の強度は損なわれることなく、むしろ見る者の想像力に静かに強く訴えるものとなったのです。
西は「これまでのやり方に縛られず、今の自分により近づいた表現ができた気がする」と語るように、今回のシリーズには、既存の技法からの解放を通じて、描くことそのものへの純粋な歓びと、何度も重ねられた自己との誠実な対話が、奥行きとして深く画面に刻まれています。生活環境や制作姿勢の変化から、日々の生活の中でじっくりと自身を見つめ直す時間を経て、より柔らかく自然体で、本質的な造形感覚によって構成された作品群は、モチーフの配置や色彩の選択においても一貫した静謐さと調和を生み出しており、西の思考の軌跡をより明確に感じさせるものとなっています。鑑賞者との心理的な距離を近づけるようなこれらの作品は、見る者に穏やかな共鳴と、思考の余白をもたらしてくれるのです。
アウトラインを排したことで新たな視覚的奥行きが際立つ本シリーズを通して、これまでとは異なる「鮮明さ」に到達した西雄大。会場では新作の平面作品約20点を発表予定です。進化を続ける西の現在地を、ぜひ会場にてご体感いただけましたら幸いです。皆さまのご来場を、心よりお待ち申し上げております。
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