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鮫島ゆい「Ritual Room (Pretend to Be Happy) 」2024 キャンバスに油彩、アクリル、パネル、229×150×4cm, 229×100×4cm, 46×64×4cm (Set of 3 paintings)

鮫島ゆい 「反復と変容の総和」

MAHO KUBOTA GALLERY
終了しました

アーティスト

鮫島ゆい
MAHO KUBOTA GALLERYでは、5月15日より、京都在住のアーティスト・鮫島ゆいによる東京での初の本格的な個展を開催いたします。
本展では大小14点ほどの新作ペインティングを展示いたします。

鮫島のペインティングは、多くの場合、シェイプド・キャンバス(変形キャンバス)を支持体として制作されます。彼女の作品においては、絵画に描かれたモチーフのそれぞれを個別に認識されることを、あえて拒むかのような姿勢が感じられます。画面に現れるのは、儀式的な道具や何かを表象するオブジェのようなもの、また、かつてそれらに人が関わっていた気配などですが、それらは具象絵画における「対象」としての役割を持たず、むしろ抽象的な言語のように、作品同士をゆるやかに繋いでいくようにも見えます。鮫島が選ぶ色彩にも独自の規範があり、黒を基軸としながら、調和と不調和の間を行き来する中間色の扱いには特有の法則性が感じられます。それは、鮫島が構築する厳かで静謐な王国のルールに従っているかのようです。

自身の制作姿勢について、鮫島は次のように述べています。 「人は世界のすべてを直接見ることはできず、五感を通じて得た断片的な情報をもとに、それぞれの主観的な世界を構築している。かつてキュビズムの作家たちが対象を分解し、絵画を再構築することで新たな観点を提示したが、知覚の様式や感覚の枠組みそのものが流動化している現代において、視覚芸術である絵画表現を通じて、断片の外側にある「見えない存在」をいかにして示すことができるのか。 」

実際、彼女の絵画を前にすると、それぞれが単独で存在しているのではなく、全体でひとつの大きな王国、あるいは壮大な物語を形づくっているかのように感じられます。それは、飛行機から地表を俯瞰する風景や、海に点在する群島のように、可視の部分を遥かに超えた、隠れた構造や背景の存在の広がりとエネルギーを想起させます。

鮫島の絵画はもしかしたら「わかることを手放す」ことから始まっているのかもしれません。断片を並べ、それらを部分的に理解したとしても、その奥に広がる世界全体を把握することは本質的に不可能です。その不可能性を受け入れ、理解という枠を超えた先に立ち現れる風景があることを、彼女の作品は示唆しています。
理想郷を信じて進んできた価値観が崩れ、人々が各地で争う現在の世界において、鮫島の絵画は、私たちに「見えないものを想像する力」を呼び起こします。しかし彼女が描こうとしているのは、完全なる世界ではありません。それはむしろ、ひとりひとりの知覚のなかに浮かび上がる、正解のない、無数の世界線の姿なのかもしれません。

スケジュール

2025年5月15日(木)〜2025年6月14日(土)

開館情報

時間
12:0019:00
休館日
月曜日、日曜日、祝日
入場料無料
展覧会URLhttps://www.mahokubota.com/ja/exhibitions/4909/
会場MAHO KUBOTA GALLERY
http://www.mahokubota.com/ja/
住所〒150-0001 東京都渋谷区神宮前2-4-7 1F
アクセス東京メトロ銀座線外苑前駅2出口より徒歩6分、東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅A2出口より徒歩11分
電話番号03-6434-7716
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