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伊藤由貴 「野外美術学校トー横界隈」

ギャラリー砂時計
終了しました

アーティスト

伊藤由貴
伊藤由貴は中学校・高校の美術教育に12年携わった経験から、10代の若者の心理や美術教育が与える影響について関心を抱くようになりました。
美術教育は人間形成をするうえで重要な役割を担っています。主体的な人材を育成するためには、教科を横断した視点や地域と連携した授業を取り入れるよう国から推奨されており、美術はそのような内容が柔軟に盛り込みやすい教科です。
しかし現場では、授業時間数の少なさや、教科同士の連携の希薄さ、教員のサービス残業の多さなど様々な問題で人間形成をするに十分な指導がいきわたらないのが現状です。
美術教育や制作という行為を、学校という閉鎖的な場から引き離すことで子供達の興味や衝動を具体的な活動の中で再構成し新たな物の見方や考え方へと発展する試みを行いました。

作品は、新宿歌舞伎町、TOHOシネマズ横の通路に溜まる若者たちにインタビューと木炭デッサンをしている様子を映像におさめました。2019年頃から始まったトー横界隈と呼ばれるコミュニティであり、歌舞伎町エリアで未成年関連の痛ましい事件が相次いで報道されたことにより広く認知されるようになりました。それにも関わらず、今現在でも多くの若者たちが集まっています。
展覧会のタイトルに使用している野外美術学校とは、画家北川民次が1925年からメキシコ文部省の下で、貧しいこどもたちに絵の指導をしていた学校名を引用しています。この学校の方針として、生徒たちの日常生活の記録や感動したものを様々な技法で表現させていたそうです。例えばタスコの町では、鉱夫や百姓、牧畜という職業が多かったため、絵の中で描かれています。
北川民次は美術教育について、「先生と生徒は同伴者・友人の間柄になって一つの問題が起こった場合生徒と教師とは苦しんで研究し、新しく解釈し解いてゆかねばならない」と述べています。
歌舞伎町で制作している様子は、「思い出の場所」というテーマを軸に今いる土地や自分たちがおかれている環境、教育について子供たちと作者が一緒になって対話していきながら、何気なく自分たちがいた風景を観察してもらうことからはじめています。

個人の経験が作品として他者の経験に働きかける時、そこにはコミュニケーションが発生します。コロナ禍以降、さらに人々の生活経験が分断を強いられ、行き場を失った若者にとって、社会的連帯の再構築に個人の表現活動は欠かせないものとなっているのです。

スケジュール

2024年7月22日(月)〜2024年7月28日(日)

開館情報

時間
19:00〜翌4:00
7月26日・27日・28日は12:00〜翌4:00
※当日の開廊時間についての詳しい情報はギャラリー公式X(旧Twitter)をご確認ください。
入場料無料
会場ギャラリー砂時計
https://sunadokei-sandbox.studio.site/1
住所〒160-0021 東京都新宿区歌舞伎町1-3-10 T&Kビル 4F
アクセスJR新宿駅東口より徒歩10分
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