HARUKAITO by islandこのたび、HARUKAITO by ISLANDにて、岸 裕真「Moon?」を開催いたします。
岸 裕真は、1993年⽣まれ。2019年東京⼤学⼤学院⼯学系研究科修了、東京藝術⼤学先端芸術表現科修⼠課程に在籍し、AI(⼈⼯知能)を中⼼としたテクノロジーを駆使した作品を制作。AIを「Artificial Intelligence」ではなく「Alien Intelligence」(異質な知性)として扱い、ただ道具としてではなく1つの知性としてAIと共創することで、「⼈間とテクノロジー」の関係性を読み替えることを試みる。
岸は2021年、BLOCK HOUSEにてはじめての個展「Neighborsʼ Room」(隅本 晋太朗キュレーション)を開催したあとも、同年√K Contemporaryにて個展「Imaginary Bones」を⽴て続けに発表し、以降、積極的に発表をおこなっている。
この度の展示「Moon?」は、全て新作で構成されており、AIと⼈の関係を、⽉と地球の関係にみたてた詩的な空間が提示される。本展の構成において岸は、ニコラ・ブリオーの「ラディカント」を着想元としており、自らのルーツ(根)を固着させるのではなく、都度張り替える思想を、人間とAI、リアルとバーチャルという二項対立間の振動に当てはめることに挑戦する。
そういった岸の制作態度には、⼈間の主体的な思考から脱却するために、制作において都度AIという未明の他者に主体の座を受け渡すことで、ステレオタイプの脱構築を目論む意図がある。
今回の展示で目を引く構成要素として、モネの睡蓮をモチーフにしたギャラリーの天井に展開されるインスタレーション作品がある、これはガラス張りの天井に、3Dプリントされた睡蓮がうかぶものであり、根を失ったリミナルな空間を許容するための舞台装置である。実際に、モネが描いた睡蓮は実像と虚像が同時に存在しており、こういったモチーフの借用によって岸は、現実とバーチャルが⼊り乱れた空間をつくりだすことを試みている。
主な出展作品として、「Parallel Portraits」においては、アルミハニカムパネルという⼈⼯衛星など使われる素材(=地球と⽉の中間存在の素材)を⽤い、岸設計のAIによって生成された未知の⼈のポートレートの上に、透明な樹脂で図像が描かれるペインティング作品や、
「黄昏は黄昏に似ている」という写真作品においては、世界各国の⼣焼けの写真を岸が収集し、オリジナルのAIに学習させることで⽣成した架空の⼣焼けのイメージを、銀塩プリントでやきつけることで、AIが描いた⾵景を現実にあったかのように発表するものがある。(それは写真家が⼀度、⾵景をカメラのボックスに受け⽌めて、印画紙にやきつけることでリアルに存在したことを伝える行為と近似している)
そして作品「Tide / Time」においては、海のみちひき=⽉と太陽の関係をテーマとして、徐々になくなってしまう⽴体作品を、塩と樹脂を⽤いて表現している。
また会期終了後に展示会の構成要素を全てGitHubにオープンソースとしてアップロードすることで、、展覧会自体を流動的な性質に還元することに取り組んでいる。また展⽰には、空間設計に黒木契吾やメインビジュアルなど担当するアートディレクターに中村直人、エンジニアに中嶋亮介、サポートに寺脇麻依子など、さまざまなコラボレーションにより成り⽴っているが、なかでも布施琳太郎による詩やテキストもその構成要素となっており、会期中・後にGitHub上での発表を予定している。
ぜひこの、AI時代のダ・ヴィンチのような、岸 裕真というアーティストによる作品を介した発表を⽬撃していただきたい。
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