にけ

難波田龍起さんの画業を振り返る大規模な回顧展です。初期から晩年までの足跡を順を追って辿ることができます。
高村光太郎さんとの出会い、戦後の復興のビル群の直線の美、新しい抽象画表現の「アンフォルメル」の刺激を受け、それらを咀嚼し己の表現を生み出していくプロセスを見ることができます。相次いでお二人の息子さんを亡くされた後に描かれた『昇天』という作品もあり、描かれた時の思いや難波田さんの人生そのものを作品を通して追体験しているような気がしました。
これまで難波田さんの作品は他の展覧会等で1点ずつしか目にしたことがなかったのですが、まとまって観ることで理解が深まったように思います。これからも画廊や展覧会で難波田さんの作品に触れる機会があると思いますので、難波田さんをご存知ない若い方もこの機会にご覧になられることをお勧めします。
日本橋三越の近くの椿近代画廊さんでも9月12日まで「難波田龍起展」を開催しているので行ってきました。60年の歴史があり、当初から抽象画を扱っていらっしゃるそうです。画廊は地下にあるのですがエレベーターで降りると、想像を超える広い空間が広がります。入り口通路には耳の彫刻家の三木富雄さんの作品がいくつも置かれており度肝を抜かれます。中に進むと壁一面に難波田さんの作品が掛かっていました。年代順にはなっていないのですが、東京オペラシティアートギャラリーさんのサイトの展覧会の説明をスマホで出しながら、どの時代の作品か確認しながら鑑賞することができて楽しかったです。初めて見る作風のものもありました。ギャラリー内には他にもいくつも素晴らしい立体造形が置かれており、そちらも楽しめます。こちらも是非!