王城ビル「ジャン=リュック・ゴダール《感情、表徴、情念 ゴダールの『イメージの本』について》展」2025年7月4日~2025年8月31日コメントのみ2025年08月29日 18:25s「イメージの本」という題を素直に受け取るならば、それは漫画のことだ、と気付かされた。漫画は立ち止まって読み返せる。紙面を見開いてコマを一挙に見渡せる。頁の裏を見透かせられる。引用と切断と接続とをひたすらに反復したゴダールの遺作をコラージュし直すこの試みは、二次元から三次元への翻訳のなかで、イメージによる一冊の本を映画では不可能な地点で成立させていたように思う。椅子と麻布がよかった。画面の間を縫って歩いて映像世界に没入してみるのも楽しいのだけど、椅子に座って視界に広がるいくつもの画面を繰り返し見続けていると、小説でも漫画でもない、新しい本を読んでいる気分を味わえる。この体験にはスクリーン代わりの白い麻布が一役買っている。布は紙面のようにひらめくとともに、奥のイメージを透かして見させてくれた。はじめて映画を読んだ。SHARE
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「イメージの本」という題を素直に受け取るならば、それは漫画のことだ、と気付かされた。漫画は立ち止まって読み返せる。紙面を見開いてコマを一挙に見渡せる。頁の裏を見透かせられる。引用と切断と接続とをひたすらに反復したゴダールの遺作をコラージュし直すこの試みは、二次元から三次元への翻訳のなかで、イメージによる一冊の本を映画では不可能な地点で成立させていたように思う。椅子と麻布がよかった。画面の間を縫って歩いて映像世界に没入してみるのも楽しいのだけど、椅子に座って視界に広がるいくつもの画面を繰り返し見続けていると、小説でも漫画でもない、新しい本を読んでいる気分を味わえる。この体験にはスクリーン代わりの白い麻布が一役買っている。布は紙面のようにひらめくとともに、奥のイメージを透かして見させてくれた。はじめて映画を読んだ。