王城ビル本展覧会は、ジャン=リュック・ゴダール監督最後の長編作品であり、カンヌ映画祭でパルム・ドールを超越する賞として、映画祭史上初の「スペシャル・パルムドール」を受賞した『イメージの本』(2018年発表)を映像インスタレーションとして再構成。ゴダールの眼で世界を見る内容となっています。
映画『イメージの本』は、1世紀以上にわたる歴史、戦争、宗教、芸術などの変遷を、さまざまな映画の引用でコラージュし振り返る、5章立ての作品です。本展では映画の各章をさらに断片化し、引用される映像の順序も常に変化させます。それらを会場内に多数設置されたスクリーンに投影・展示するという手法により、映画上映の時系列的な束縛を打ち破り、視覚的、空間的にゴダールの世界を体感いただきます。会場では、往年の映画ファンはもちろん、ゴダールを知らない多くの若い世代の方たちも、その映像や音の断片を通じて、その場に立ちながらゴダールの思考に入り、彼の眼で世界を見つめる観察者となっていきます。
これまでにドイツ、スイス等で会場の特徴をいかした展示が行われてきた同展を、このたび日本で初めて、東京で開催することになりました。会場は、新宿 歌舞伎町の歴史を60年前から見守ってきた「王城ビル」。開催会場の魅力については次回以降ご紹介します。 ゴダールの芸術性を極限にまで拡大させた本展に、ぜひご期待ください。
maii
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s
「イメージの本」という題を素直に受け取るならば、それは漫画のことだ、と気付かされた。漫画は立ち止まって読み返せる。紙面を見開いてコマを一挙に見渡せる。頁の裏を見透かせられる。引用と切断と接続とをひたすらに反復したゴダールの遺作をコラージュし直すこの試みは、二次元から三次元への翻訳のなかで、イメージによる一冊の本を映画では不可能な地点で成立させていたように思う。椅子と麻布がよかった。画面の間を縫って歩いて映像世界に没入してみるのも楽しいのだけど、椅子に座って視界に広がるいくつもの画面を繰り返し見続けていると、小説でも漫画でもない、新しい本を読んでいる気分を味わえる。この体験にはスクリーン代わりの白い麻布が一役買っている。布は紙面のようにひらめくとともに、奥のイメージを透かして見させてくれた。はじめて映画を読んだ。